~CKD(慢性腎臓病)関連学会とは~
常に適切な医療を提供するために
2017年6月
毎年6月には日本透析医学会が開催されます。全国でも有数の学会なので主治医の先生がそのためにお休みということもあるかもしれません。「学会ってなに?」と思う人も多いでしょう。そこで今回は学会について紹介しましょう。
腎臓病だけでも多くの学会がある
学会とは学術研究の発達向上を図ることを目的とした研究者の自主的な集まりです。腎臓というひとつの臓器だけでも多くの学会がありひとりの医師はたいていは複数の学会に所属しています。たとえば日本腎臓学会、日本透析医学会、日本腹膜透析医学会、日本移植学会など、保存期、透析、移植などの区分や、医師だけでなく看護師や栄養士、臨床工学技士の学会もあります。
規模が小さな研究会まで含めると数え切れないほどで、なかには透析治療に伴う心理的負担をケアするための日本サイコネフロロジー研究会というのもあります。
~CKD関連の日本の主な学会・研究会~
日本腎臓学会、日本透析医学会、日本腹膜透析医学会、日本移植学会、日本小児腎臓病学会、日本臨床工学技士会、日本腎不全看護学会、日本腎臓リハビリテーション学会、日本腎臓病薬物療法学会、日本腎循環器病研究会、日本サイコネフロロジー研究会、在宅透析研究会、長時間透析研究会、腎不全研究会、日本腎栄養代謝研究会、透析運動療法研究会、日本次世代人工腎臓研究会ほか
ほかにもCKD(慢性腎臓病)と関係の深い糖尿病や心血管病、高血圧などの専門学会とも連携を深め、専門医が協力して活動しています。
学術集会
それぞれの学会では年に何回か集会があり、大きな集会は総会といわれ、たいていは学術集会とセットで一年に一回、2~3日にわたって開かれます。主治医の先生が「学会に行く」というのは、この学術集会に参加することで、学術集会ではその分野のエキスパートたちが集い最先端の研究や実際の治療効果について発表します。権威ある先生の講演や、ひとつのテーマについて何人かの先生が意見を述べるシンポジウム、実際の臨床現場での結果を発表するワークショップなどがあり、専門家のあいだで熱い討論が繰り広げられるエキサイティングな場面も見られます。
演題は公募により選ばれますが、ポスターを掲示し決められた時間に集まった人たちに説明するという簡単なものもあり、若い先生にとっては研究の成果を発表するよい機会です。教育講演といって医師たちが学ぶ場も設けられています。決められた講演を聴講することで単位が与えられ専門医の資格をとることができますが専門医を維持するには毎年きちんと単位を取らなければなりません。また学術集会は交流の役目も果たし、忙しい医師たちが意見を交換し経験を共有する場を提供しています。
その他の学会活動
学会活動は学術集会だけではありません。学会誌を発行したり、治療に倫理的な問題はないかを考える倫理委員会を開催したり、診療ガイドラインを定めることも大切な仕事です。CKDだけでも原疾患や患者の状況に応じた複数のガイドラインが用意され、日々進歩する医療のなかで常に的確な診療ができるよう改訂版も作られています。
。
これらの学会活動のおかげで最新の医療情報が共有され、私たちはどこに住んでいても、またかかりつけ医が専門医でなくでも、いつも適切な診療を受けることができるのです。
※「2017年6月号そらまめ通信」より