2020年4月から 診療報酬が改定されました

2020年4月

診療報酬とは、医療費(病院で受ける診察・検査代、薬代)のうち健康保険から支払われるもので、国により細かく決められています。2年に一度見直しをおこない改定されます。そのなかから慢性腎臓病(CKD)に関係するものについてご紹介しましょう。

腎代替療法の情報提供の推進

 腎不全が進行すると、腎臓に代わる治療法(腎代替療法)を選ぶことになりますが、日本では血液透析(HD)、腹膜透析(PD)、腎移植の3つの治療法のうち血液透析を選ぶ人が非常に多く、腹膜透析や腎移植を選択する人が少ないのが特徴です。今回の診療報酬改定では、血液透析だけでなく腹膜透析や腎移植についてもていねいに情報を提供することが評価されるようになりました。
 病院側は、そろそろ透析が必要になった患者さんに対し、3つの治療法について説明し、患者さんはそのなかから自分に合っていると思う治療法を選びますが、そのときに専門家が作成した資料を渡すだけとか簡単に伝えるだけではなく、経験のある腎臓内科の医師と看護師が連携して、それぞれの治療についてより分かりやすく時間をかけて説明することが奨励されるようになりました。これは患者と医療関係者が一緒に治療法を決めるSDM(シェアード・ディシジョン・メイキング)の考えに近く、患者は各治療法について十分に理解し、自分のライフスタイルにあった治療法を選択しやすくなります。
 また腹膜透析や腎移植に関する相談や手術などに積極的に取り組んでいることが考慮されるため、腹膜透析や移植についての情報提供が増えることが期待されています。

腹膜透析と血液透析の併用療法の条件緩和

 「併用療法」は、文字通り、腹膜透析と血液透析を併用する治療法で、主に、腹膜透析から血液透析に完全に移行する前の治療としておこなわれることが多いようです。腹膜透析に加え、週1回血液透析をおこなうことで、腹膜透析だけでは足りない透析量を補い、より安定した治療が期待できます。2010年より保険適用が認められるようになり、腹膜透析患者さんの約2割が併用療法をおこなっていると言われています。これまで「腹膜透析と血液透析の併用は同一医療機関でなければ実施できない」とされていましたが、今回の改定では、一人の患者さんがA医療機関で腹膜透析を受け、B医療機関で血液透析を受けることがことが認められましたので、患者さんの利便性が高くなりました。
 このほかにも血液透析を受けるためのシャント設置術や薬の選択方法などについても見直されました。


 今回の改定の特徴は、血液透析に偏りがちな現状に、腹膜透析や腎移植を広めていこうとしていることです。患者自身もそのような背景を考慮したうえで、それぞれの腎代替療法の特徴についてあらためて学び、どの治療法が自分に最適なのかをよく考えて治療法を決めていきたいものです。

※「2020年04月号そらまめ通信」より

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