~健康栄養学部ゼミ生による~
コンビニ食品で腎臓病食レシピ開発

第23回日本病態栄養学会で、大手前大学健康栄養学部ゼミ生による研究「コンビニの食品を活用した慢性腎臓病食レシピの開発」が発表されました。

食事療法の負担軽減にコンビニ食を利用

 慢性腎臓病(CKD)の食事療法はたんぱく質や食塩の制限に加えて、十分なエネルギーをとらなくてはならないなど難しく、患者さんや家族の負担も大きくなります。腎機能が中等度低下したステージ3以上の食事療法では、たんぱく質制限は0.6~0.8g/kg/日で、制限が厳しくなればなるほど献立を考えるのが大変になります。主食は低タンパク米やデンプン米などの治療用特殊食品を使うことが勧められていますが、日常的に利用するには、食事としての満足感が得られない割に、費用も高くなります。その点に着眼した大手前大学健康栄養学部山本ゼミの学生たちは、手軽に入手できるコンビニの食品を利用して食事管理ができれば、食事療法の負担を軽減することができるのではないかと、コンビニ食品での腎臓病食レシピ開発に取り組みました。

全45種のコンビニレシピが完成

 腎臓病食レシピの対象は透析導入前のCKDステージ3b~4期、50才~69才の男女で、食事制限の設定基準値は、1日の摂取エネルギー男性2100kcal、女性1650kcal、たんぱく質制限は男性で1日39.2~52.2g、女性で1日31.8~42.4g、食塩制限は男女とも1日6gとしました。
 大手コンビニ3社それぞれの食品で朝食、昼食、夕食を5種類ずつ作成しました。試した食品は248品、うち161品を採用し、たとえば「くるみパン、ウィンナー、ポテトサラダ、りんごジュース」の朝食、「鮭ハラス、コールスロー、ポテトサラダ」の昼食、「生パスタトマトソース、半熟たまご、かぼちゃサラダ、ジャンボアイス」の夕食といった数々です。塩分が強くて食べられないと思っていた食品は、量を少なくしたり、混ぜる工夫で食べられるようにアレンジし、45種類の腎臓病食レシピ集が完成しました。リン、カリウムについては、栄養成分表示がされていなく基準値を設定できなかったため、リンやカリウム制限を指示されている患者さんは注意が必要ですし、利用するには医師や管理栄養士による指導を受けることが重要ですが、完成したレシピ集は日めくりカレンダーのように使えて、発刊を期待する声もあるそうです。

今後はネットスーパーの活用も予定

 指導にあたった山本國夫教授は、「毎日の食事には勧められませんが、体調不良のときや献立に困ったとき、食生活に変化をつけたいときなどに身近なコンビニ食品を利用することができれば、負担を軽くすることができ、食事療法の強い味方になるでしょう」と話しています。今後は新型コロナ感染防止で外出を控えている患者さんのために、ネットスーパーマーケットを利用したレシピ集の開発をおこなうそうです。

※「2020年12月号そらまめ通信」より

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