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「血尿」に関する検索結果
Q2
IgA(アイジーエー)腎症とはどのような病気ですか。
- 回答
- 腎臓の糸球体に免疫グロブリンのIgAというたんぱくが沈着している糸球体腎炎です。日本人に多いとされています。初期は無症状で、学校検尿および職域検尿でたんぱく尿または血尿で発見されます。急性上気道感染症(風邪など)を伴った場合には、肉眼的血尿(コーラ色の血尿)が見られることもあります。IgA腎症の患者さんで、病気がどのように進行して行くか(予後といいます)については、腎生検での組織所見と尿所見の程度によってある程度予想できます。腎生検(腎臓の組織検査)の所見で糸球体の増殖性変化と尿細管間質障害の程度が強い場合、たんぱく尿が多くでている場合、尿の中にいろいろな円柱が見られる場合、血圧のコントロール悪い場合などでは、時間とともに次第に腎機能が低下して、腎不全の症状が出る可能性が高くなります。
Q3
慢性糸球体腎炎の場合、透析は必ず必要になるのですか。
- 回答
- 慢性糸球体腎炎と呼ばれる病態にはとても多くのタイプが含まれており、また同じタイプの病態であっても患者さん一人一人で進行度や重症度が異なっています。ですから、「慢性糸球体腎炎だから透析が必要になる」などということは全くないのです。しかし、なかには腎機能の低下が進みやすいタイプも含まれています。また、病気の診断がつくのが遅くなって腎臓の機能がすでに低下してしまってからでは、治療の効果も得られにくくなってきます。ですから、もしも健康診断などで慢性糸球体腎炎の可能性を指摘された場合(血清クレアチニン値の上昇や、尿蛋白・尿潜血が陽性、などです)には、自分一人で頭を悩ませずに、早めに再検査を受けて必要に応じて専門医を受診することが最も大切なことなのです。検査を受けて慢性糸球体腎炎であると判った場合であっても、病態に応じた適切な治療を始めるのが早ければ早いほど、腎機能が低下することを未然に防いだり、または病気そのものを治してしまったりたりすることができる可能性が高くなります。
Q14
IgA腎症ですが、今の病状で扁桃腺摘出+パルス療法を行った方が良いでしょうか?
- 相談者
- 保存期患者、45歳、男性
- 相談内容
- 人間ドックでタンパク+1、潜血+2の指摘、再検査でも異常が認められ、大学病院で腎生検、IgA腎症の診断を受け、かかりつけ医で薬物治療中です。現在ステージ3の初期(血清クレアチニン値1.11)と医師から言われていますが、血圧も安定し、直近値では、タンパク+1、潜血-で薬物治療の効果が見られるとの所見です。
IgA腎症には、扁桃腺摘出+パルス療法が効果的という話を聞きますが、私の現在の病状でこの療法を取り入れた方がよいのでしょうか?
- 回答
- IgA腎症は以前は20年で10人の内4人は透析になると言われていました。最近は尿蛋白量と腎生検の所見から進行する可能性があるかどうか判断するようになりました。
1日の尿蛋白量が1gを超える例で腎生検所見が強い場合は進行の可能性があります。このような例はステロイド療法が勧められています。ステロイド療法がおこなわれるようになってから尿所見が消失する例も見られるようになりました。
頂いた検査結果は外来尿で1+のようですが、一日尿蛋白量は外来尿の尿蛋白/クレアチニン比でも予測できます。
IgA腎症の発症に何らかの抗原(腎炎を起こす免疫的な原因物質)が関与していると考えられていますが、その中に細菌があります。慢性の扁桃腺炎にはそのような原因となる原因菌があると考えられています。IgA腎症の方で扁桃腺摘出術をした方で尿所見が消えた方がいます。そのようなことにより扁桃腺摘出術が行われるようになりました。適応は慢性の扁桃腺炎を持っている方が対象になります。先に述べましたステロイド療法にもステロイドを大量に点滴するパルス療法がありますが、扁桃腺摘出術とこのパルス療法を併用したのが扁桃・パルス療法です。パルス療法後もステロイド内服をしばらく継続します。この治療の有効性に関しての報告も最近増えてきているようです。尿所見が軽微な症例や腎生検所見がある程度進んでいる例や腎機能低下が進んでいる例では効果が期待できず適応できない例があります。その適応に関しては腎臓専門医に相談されて決めて頂くのがよろしいかと考えます。大学で腎生検されて治療方針を決定されているようですのでお聞きになられたらいかがでしょうか。
Q18
IgA腎症の夫がアメフトを始めたいと言っていますが
- 相談者
- 保存期患者、47歳、男性(相談者:患者家族)
- 相談内容
- 夫についての相談です。10年前にIgA腎症、予後比較的不良群と診断されました。現在、血清クレアチニン(Cr)1.04mg/dL、 BUN14 mg/dL、 TP5.8g/dL、 K4.6mEq/L、 eGFR61.3mL/min、 尿蛋白3+、尿潜血2+という状態が続いており、薬物療法と食事療法を受けています。
この状態で昔やっていたアメリカンフットボールを始めたいと言っているのですが、激しいスポーツのため、賛成出来ずにいます。今の体の状態で、どの程度の運動をしてもいいのか教えて戴きたく相談いたしました。運動好きなので無理するのは目に見えており(筋トレ等)、また血を固まりにくくする薬も飲んでおり、怪我が付き物のスポーツなのでどうしたものか悩んでいます。
- 回答
- IgA腎症は、蛋白尿が持続しますと、10~20年で、20~40%の方々が透析に至るといわれております。ご主人は比較的不良群(糸球体という腎臓の濾過装置の30%未満がつぶれてしまっている状態に相当する腎生検病理組織像を指します)に相当する病理組織とのこと、さらにCr1.04 BUN14 TP5.8 K4.6 eGFR61.3 尿蛋白3+ 尿潜血2+ という状態から考えますと、将来の透析導入の可能性が残念ながら大きいといわざるを得ません。
まだまだ自分は若いと思っても47歳は47歳であり、アメリカンフットボールのような無酸素運動(急に息こらえをして全力疾走)による心肺の負担は大きいでしょう。安静を強いる必要はありませんが、ジョギングなどの有酸素運動にとどめるべきです。また筋トレ等は筋肉量の保持に有効ですが、やり過ぎますと筋肉量の多さが、かえってクレアチニン産生量を増加させ、血清Crを上昇させます。クレアチニンのクレアとは、ラテン語の筋肉の意味であり、筋肉分解産物がクレアチニンに他なりません。
Q25
尿の潜血反応から、尿たんぱくも出始めました。このままでよいか不安です。
- 相談者
- 保存期患者、51歳、女性
- 相談内容
- 検診を受け始めて3年間尿の潜血反応が3+でしたが、そのまま放置していました。今年蛋白尿が+で腎臓内科に紹介されました。BUN18.0mg/dL、クレアチニン0.82 mg/dL、eGFR57.6mL/min、尿蛋白量0.13g/dayで、高血圧、糖尿病といった原因の分からない腎臓病と言われ、たんぱく質40g以下塩分5~6g以下の食事指導を受けました。原因が分からなくても予後はいいのでしょうか?悪いのでしょうか? 次は3ヶ月後に検査をします。それまで放っておいてもいいのか不安です。
- 回答
- 最初に検尿異常の原因が何によるかで今後の経過が異なりますので、原因の精査が必要です。が、現在診て頂いている先生が、原因がはっきりしないとおっしゃっているようなので、腎臓のエコーとかCTなどの画像診断をお受けになっておられたら異常がなかったと考えられますので、泌尿器科疾患はないと考えて良いと思います。
内科的疾患には糖尿病や膠原病など全身的な病気で腎臓に障害が来ることがありますが、そのような疾患も指摘されていないようですので、高血圧もなくまだ若いので腎硬化症(腎臓の動脈硬化で血尿はあまり出ません)も考えられません。残るのは慢性腎炎を起こしていることが考えられます。その場合、血尿は尿中の赤血球が変形しているのが見られ診断の参考になります。慢性腎炎の確定診断には腎生検が必要です。超音波エコーで見ながらマッチ棒の先くらい腎臓から組織を採取し、それを光学顕微鏡、免疫染色、電子顕微鏡などで診断します。いろいろな病型および程度があり、それに基づいて治療を行います。
頂いた病歴からは検尿異常は血尿だけだったのが蛋白尿も陽性になってきたようです。慢性腎炎と考えますと、血尿だけでは腎機能にはあまり影響しないようですが、蛋白尿が腎臓病の進行に関係していることがわかっています。データでは0.13gですのでまだ進行する状態ではないといえますが、蛋白尿が出てきたことは注意が必要と考えます。腎機能推定糸球体濾過値で57.6mlですので、年齢的には少し低いようですが、下ってきているのか、以前から変わらないのか確認しておいたほうがよろしいかと考えます。
慢性腎炎としますと病型にもより経過は様々です。腎生検の時期については、特に蛋白尿が持続して陽性になってきたら一度は腎生検をお受けになることをお勧めします。原因はともかく、腎機能に合わせた食事療法の指導もお受けになっていますので、腎臓内科医に定期的に受診され必要な検査を定期的にお受けになることをお勧めいたします。