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「血液透析」に関する検索結果
Q1
導入が遅くなると死期を早めるのでしょうか?
- 相談者
- 保存期患者、82歳、男性
- 相談内容
- クレアチニンの値がここ半年で急にあがり、主治医からは1〜2年のうちに透析に入ってもおかしくないと診断されています。現在は通常の生活が続けられていますし、今後も努力を続けてできるだけ透析を避け、普通の生活ができないようになったら導入したいと考えていますが、導入が遅くなると死期を早めてしまうのでしょうか。どんな時に決断すべきか教えてください。
- 回答
-
現在の数値から、あなたは慢性腎臓病のステージ5まで進行していますね。ステージ5とは透析直前か透析を導入している方を意味します。あなたの推定糸球体ろ過値(尿をつくる働き)は6.52ml/分で、通常8.0ml/分以下は透析開始を推奨する値とされています。
そのほかに以前から用いられている透析開始基準があります。それは検査結果、臨床症状、日常生活障害度を点数で表わし、合計が60点以上であれば透析開始をすすめるというものです。たとえば、クレアチニン値が5.0より大きい場合は20点、年齢が60より上だと10点、臨床症状が1つ加わるにつれてプラス10点、というふうに加算されていくのです。
いずれにしろ、あなたの数値からは、透析の準備に入っておく必要があると判断します。血液透析を選択するなら、シャントを、腹膜透析(CAPDやAPD)を選択するなら、スマップ法でカテーテル挿入を早目にしておけば、スムーズに透析に入ることができます。また、ステージ5になると急激に増悪する場合もあるので、2週間に一度は外来受診して、定期的に検査を受けることをおすすめします。
日本腎臓学会および透析医学会が作成した小冊子(DVD付き)や当協会作成の冊子「腎不全とその治療法」などを参考にして早目の準備をお勧めします。
Q2
いきなり腎不全で透析が必要と言われ、家族で毎日悩んでいます。
- 相談者
- 保存期患者、41歳、男性(相談者:患者家族)
- 相談内容
- 主人は1月に高血圧・だるいなどの自覚症状があり受診したところ腎不全との診断でいきなりいずれ透析が必要だと言われ、シャント形成手術をしました。医師からの詳しい説明もほとんどなく家族でこれからどうしていいものか毎日悩んでいます。今の数値はクレアチニン6.62尿素窒素73.5です。食事も減塩に努めていますが共働きの為時間をかけれないので献立も思いつかず悩んでいます。子供は中.高生で育ちざかり。20年以上前から潰瘍性大腸炎を患っています。
- 回答
-
腎臓の機能低下は多くの場合に、余りはっきりした自覚症状無しで徐々に進行します。このため、明確な症状が出てきて医療機関を受診した時には、想像以上に腎機能低下が進んでしまっていることがよくあります。定期健診を毎年受けておられたのであれば、尿蛋白の陽性、血圧の上昇、貧血、これらに伴う自覚症にご本人が敏感であってほしかったと思います。
急いでシャント作製手術をお受けになった程ですから、腎機能は大まかに申して正常時の10分の1にまで低下していたのだと推測いたします。
ご主人と貴方が直ちに行うべきことは以下の事項です:
1)慢性腎不全の原因は何なのか? 慢性糸球体腎炎か、糖尿性腎不全?など
2)食生活の基本の学習(医師及び栄養士からの指導)
3)処方される薬剤の内容と作用(効果):何故内服するのか?
4)患者さんの血液透析スケジュールを考慮した家族全体の生活パターンの再構築
(考え直し)
5)透析を開始したことによる潰瘍性大腸炎への影響について担当医に尋ねる
6)腎移植の可能性の追求
いずれの項目も簡単には解決策が出ないかもしれませんが、全国で約31万人の人々が維持透析で命を永らえ、その人なりの社会復帰を果たしています。最初の1年の苦難をどうか歯を食いしばって進めば、道は自ずと開けると信じます。
Q3
シャントも作りましたが、透析開始を1日でものばしたいのですが。
- 相談者
- 保存期患者、73歳、女性
- 相談内容
- 15年程前から腎臓病と言われていましたが、3ヶ月前に主治医からそろそろ透析の準備をするようにいわれてシャントをつくりました。しかし、通院も大変ですし、できるだけ透析をしないで1日でもこのままでいたいと思っています。1日でものばしたら良いですよという人と、早めに透析をはじめた方が良い人もいます。実際はどうなのでしょうか?
- 回答
-
あなたの数値から、あなたの腎臓は本来の10%程度しか働くことができないという状態です。その10%が猛烈に頑張っているわけですが、今後もクレアチニン値はどんどん上がり、ある日突然倒れて、緊急透析ということも考えられます。
透析導入を先延ばしにしたり、突然倒れて病院で腎不全と診断され緊急透析となる方が透析導入の方の25%もいます。こういう方は、適切な時期に導入した方に比べて、予後が悪いのが実情です。主治医の指示に従い、適切な時期に導入されることをおすすめします。
なお、週3回の通院が大変でしたら、自宅で行う腹膜透析や在宅血液透析といった方法もありますので、主治医に相談されてはいかがでしょうか。
Q5
血液透析の準備のためにシャントをつくりましたが、太くなりません。
- 相談者
- 保存期患者、64歳、女性
- 相談内容
- 糖尿病があり、血清クレアチニン値が7近くなりました。そろそろ透析の準備をと言われ、右手に内シャントを造りました。しかし、血管が太くならず、3か月後に左手に内シャントを造りました。それから2ヶ月経ちますが、まだ太くなりません。ボールを握る運動はしています。何か良い方法はないでしょうか?八方ふさがりです。どんな小さなことでも良いので教えてください。
- 回答
-
データならびに経過を拝見しました。データ的にはそろそろ透析を考える必要がありますね。
糖尿病の方ですと、動脈が細く血流が悪い場合など、シャントの発育が悪い方も多いようです。
シャント血流は血圧と体液量に依存しますので、あまり血圧を下げすぎない、また脱水などは注意が必要です。若干水分を摂られた方が、シャントは良好になります。以下の点にも注意しましょう。
・シャントを発育させるために、ボール握りなどは繰り返すこと。
・シャント側の手に負担を掛けないこと、荷物をもったり、腕時計などもさけましょう。
・寝る時は体の下にならないような注意が必要です。
また、血流をよくするような抗血小板薬なども効果は期待できます。
いろいろやっても穿刺が困難な場合には、無理をせずに作り直す事も考えましょう。
長期に使うシャントです。早めに良いシャントに作り直すのも必要かもしれません。
主治医の先生と良く相談しましょう。
どうしてもシャントができない場合、人工血管を使う手もあります。
別な方法として腹膜透析を考えてもよいかもしれません。
PDファーストと言って、まず腹膜透析を行う方法も広く認められています。
血糖管理がよいのであれば、糖尿病の方でもまったく問題なく行うことができます。
いろいろな方法があります。心配することはありません。
主治医の先生と良く相談されて、最適な方法を選択してください。
Q6
食欲もあり体調もふつうですが、心臓が心配と透析をすすめられています
- 相談者
- 保存期患者、78歳、男性
- 相談内容
- 5年前から、薬物療法と食事療法を行っています。現在の検査値は、血清クレアチニン7.3、BUN73、ヘモグロビン6.3です。今入院していて透析の準備の手術をしました。食欲もあり体調はふつうです。心臓が心配なので透析をすすめられているのですが迷っています。
- 回答
-
相談内容拝見しました。クレアチニン、BUNの値に比べて貧血が強いですね。
貧血は、心臓病の発症や腎障害の進展の重要な危険因子です。
腎不全に合併した貧血の治療はエリスロポエチンの使用、鉄剤の使用、その他の貧血の原因があればその治療を行い、Hb10g/dL以上を保つようにするのが一般的な治療です。
もし、これらの治療を行っても貧血が改善しないようであれば、腎不全が影響している可能性が高いので、透析導入を行うことになります。
そのような理由から、透析導入の時期と判断されたのだと思います。
透析方法には血液透析と腹膜透析の二つがあります。その他に腎臓移植もありますが、腎臓を提供してくれる方がいなければ、透析を選ぶ事になります。
血液透析と比較して腹膜透析は緩徐な透析方法です。また持続的に透析を行うために、身体に優しい透析方法と言えます。そのために、自分の腎臓が長く維持されます(透析導入後も自分の腎臓が生かせます)。また、心臓にも優しい透析であり、狭心症、高血圧などの心臓病が心配な患者さんに適した透析方法です。あと。自分で行う透析方法(自己管理が必要です)なので、QOL(生活の質)が良好なのも特徴です。
最近の考え方では、自分の腎臓を生かす為に、まず腹膜透析を行い、自分の尿が出なくなった時期に血液透析に移行するPDファーストの考え方も広まっています。もし、心臓病に不安があるようであれば、腹膜透析を選択するのも一つの方法です。
腹膜透析は満足度の高い透析方法です。ただし、それぞれの透析方法には特徴があり、適した患者さん、適さない患者さんがある事も事実なので、ご質問された方が腹膜透析に適しているのかは、この相談内容だけでは十分わかりません。もし興味があれば、主治医の先生に腹膜透析についても聞いてみてはいかがでしょうか。
Q7
父が透析一歩手前と言われました。透析になったら生活面で何に気を付ければ良いでしょう?
- 相談者
- 保存期、76歳、男性(相談者:患者家族)
- 相談内容
- 私の父のことなのですが、腎臓病がひどくなり担当の医師から透析一歩手前だと言われたそうです。透析になったらどんなことに気をつけたらいいですか?生活面での注意や進んでしたらいいことなどあれば教えてください。また、食事についても教えてください。塩分とか医師は全く使わない方がいいと母には言ったそうです。味のつけ方とかアドバイスお願いします。
- 回答
-
腎臓病がひどくなり、透析の一歩手前と言われたとのことで、透析に入られてからの、生活管理面、食事療法などに関してのご質問と、拝見いたしました。また一部のご質問は現在の状況に関しての内容と拝見いたしました。
透析にはいったらどのようなことに気をつければよいかに関してですが、透析を始める時は、入院して開始しますが、透析治療で安定すると自宅に近い透析施設への通院透析治療となります。週3回通院して、1回4~5時間透析を行う治療が継続されます。
このような状態になりますと、体の活動性がよくなります。透析日以外の日は、積極的に運動をしたり、生活を楽しむことが可能となります。食事療法は、透析にはいっても、必要です。透析にはいっても、100%腎臓の機能を補充するわけではありませんから、透析と次の透析までの間の体重管理や、血液の老廃物の増加や、カリウムなどを適正に管理するために、塩分制限、蛋白制限、水分制限、カリウム制限などの基本は必要です。
保存的管理(自分の腎臓の働きで、出来るだけ透析を遅らせるための管理)の時期での蛋白制限、塩分制限などの食事制限は、透析療法にはいりますと、やや緩和されます。
医師から塩分は全く使わない方がよいと、いわれたとのことですが、現在は、透析をせずに、ご自分の腎臓の働きを温存するために、塩分を少なくするよう、アドバイスをされていることと判断されます。この時期での塩分制限に関しては、一日5~6gくらいが推奨されます。味噌汁、漬物、つくだに、のりの瓶詰などをやめて、食事の味付けを薄味にすることで、塩分は1日6gくらいとなります。また、練り製品(かまぼこ、ハムなど)は塩分が多くなります。味付けには酢や、からし などを使って工夫されるのがよいでしょう。
以上 患者さんの具体的な状態がわかりませんので、一般的な回答をさせていただきました。お父上のことで今後、いろいろなご心配なことありましたら、また具体的な今後の治療に関してなどは、主治医の先生ともよく御相談されお話を聞いて、ご家族としてご理解される機会をつくられるとよいかと思います。
Q4
入浴は可能ですか。
- 回答
- 透析をした日は、入浴などで針を刺した部分を濡らさない方が良いでしょう。常に針を刺した部分の清潔を保つように心がけて下さい。
>>血液透析(HD)について、より詳しい情報はこちら
Q9
透析後のだるさと頭痛に悩まされています
- 相談者
- HD患者、59歳、男性
- 相談内容
- 半年前に血液透析を始めました。透析後に手足のだるさと頭痛があり、悩まされています。除水が少ないと苦痛が和らぐ気がして、飲食を制限して、除水を2kg以下にするように努力しています。何かよい方法があれば教えてください。
- 回答
-
透析後のだるさを考えるときには、治療後の血圧は下がっているか? 脈は? 患者さんの体格、日常の活動性、むくみなどの身体所見、透析にいたった原疾患、心臓の合併症、貧血など検査データ、現在の尿量、現在の透析条件など、様々なことを検討する必要があります。
今回の場合、詳しい情報がありませんが、体重増加が少ないと苦痛が和らぐとのことですので、おそらく透析の除水・血圧低下に関連する症状と思われます。
一般に、腎不全の方は尿が少なくなってくるので、透析を終えてからつぎの透析日までに体重が増加しますが、中2日のときは5%以内、中1日のときは3%以内が望ましいと考えられています。つまり、月・水・金透析の体重60kgの方は、月曜日には3kg以内の増加が望ましいということです。塩分を控えて、水分を減らしましょう。尿量がほとんどない方の場合は、1日700〜800ml以内の水分摂取が望ましいとされています。これには、食事の汁物や薬を飲む水、嗜好品としてのお茶など全てを含みます。
以前は2kgぐらい除水しても平気だったのに、最近はつらい、血圧が下がってきた、足がつりやすいなどの場合には、ドライウエイトが合わなくなってきた(太ってきた)可能性があるので、主治医に相談することが必要です。患者さんの自覚症状、血圧などを総合して医師が判断しますので、患者さんが積極的に情報を発信するのは良いことです。もし十分な尿量(500〜1000ml)があるのに、体重が3〜4kg以上増えてしまうとしたら、生活・食事・水分摂取の内容に問題があると考えて、栄養相談を受けましょう。また、尿量が少なくなってきて体重が増えてしまう場合は、透析時間を3時間から4時間にするなど、透析治療の見直しが必要でしょう。いずれにしても、透析とつぎの透析の間の体重増加を抑えることは、長期に合併症を予防するためにも重要です。
Q10
血液透析患者の緊急時の対応について
- タグ
- 血液透析
- 相談者
- HD患者の家族、30代、女性
- 相談内容
- 母(65歳)は救急対応ができないクリニックで透析を受けています。先日自宅で呼吸困難になり、受け入れ先を探すのが大変でした。緊急時に備えて、家族はどのような環境をつくっておけばいいのでしょうか。
- 回答
-
透析だけを行っている入院設備のないクリニックでも、月〜土曜日の午後5時ごろまでは透析スタッフが勤務していますし、夜間透析をしている日は、午後11時ごろまで透析スタッフがいますので、連絡をとることができると思います。
また大部分の施設では、緊急事態に備えて、緊急時の連絡方法(多くは緊急時電話番号)を患者さんに通知しています。連絡を受けた当番スタッフは、患者さんに受け入れ先の病院を指示し、先方の病院にも依頼するよう連絡を入れてくれることになっていると思います。
緊急事態の対応は、かかりつけ施設の担当医、または看護師長に明確に教えてもらうことが大切です。なお、急性の呼吸困難の発症は、100%避けられるものではありません。その時どうすればよいのか、かかりつけ施設の担当医とよく相談しておくことです。
Q11
血液透析の時間を1時間延ばすことをすすめられています
- タグ
- 血液透析
- 相談者
- HD患者の家族、70歳、男性
- 相談内容
- 主治医から寿命を長くもたせるためには3時間から4時間に透析時間を延ばすことをすすめられています。私は3時間のほうがいいのですが、どうしたらよいでしょうか。
- 回答
-
クレアチニン値などがたいした値でなければ、短い透析時間ですみますが、透析効果が得られなくなったら、もうすこし長い時間の透析が必要になってきます。あなたの場合、主治医がすすめるように、4時間透析のほうが望ましいと思います。
血液透析患者さんのなかには、長時間透析に切り替えたことで、薬の量が大巾に減り、足のつりも治って、元気を取り戻したという方もいます。また、毎晩3時間の在宅血液透析をすることで元気を取り戻したという方もいます。
あくまでも、24時間休みなく働いていた腎臓の代わりをしてくれるのが透析なので、透析時間が長ければ長いほど、本来の働きに近づくということはいえると思います。
Q13
腹膜透析はどのぐらい継続できるのでしょうか?
- 相談者
- PD患者の家族、50歳、男性
- 相談内容
- 主治医のすすめで高校生の息子はCAPDを導入しましたが、別の医師から腹膜透析は腹膜機能が低下するため1年半程度しかもたない、そのあとは血液透析になるといわれショックを受けました。実際にCAPDはどれくらい継続できるのでしょうか。
- 回答
- CAPDと相性が悪い、または面倒といった理由で早々に血液透析に移行する方はいますが、医学的にCAPDが1年半しかもたないというのは聞いたことがありません。CAPDは目安として、残在腎機能があるかぎり、すなわち尿が出る限りは継続できます。平均すると5〜8年の継続が可能です。また血液透析を併用する方法もあり、さらに長期に行うことも可能です。患者さんによっては20年以上継続している方もいますが、無理な継続は腹膜硬化症などの合併症を引き起こすこともあります。いずれにしろ、主治医とよく相談しながら、無理なく良好な生活を送ることが重要です。
Q14
腹膜透析から血液透析への切りかえについて
- 相談者
- PD患者、74歳、男性
- 相談内容
- 腹膜透析を始めて5年目に入りますが、主治医から血液透析に切り替えるようにいわれています。今まで経過は良好でまだ腹膜透析を続けたいのですが、血液透析に切り替えたほうがよいのでしょうか。
- 回答
-
一般的に残存腎機能が低下してくると、透析不足になることがあるため、腹膜透析から血液透析への移行を考える時期といわれています。しかし、あなたのデータをみる限り、尿量(1日300ml)は腎機能の低下によるものと思いますが、とくに透析不足を示すデータはありません。また、腹膜透析の継続年数(5~8年)も血液透析への移行時期の目安となりますが、貧血や浮腫、血圧の上昇、尿毒症の症状がなければ5年目に入るところということですので、CAPDの継続は可能と思われます。
もう一つ重要なことは、腹膜の状態です。腹膜の状態はPET(腹膜平衡試験)という検査で判断します。もしPETをやっていなければ、きちんとやってもらうように主治医に相談する必要があります。腹膜の劣化があり、透析不足の状態であるならば、治療法の変更を考えるべきでしょう。
大切なことは、主治医にCAPDを中止しなければならない理由を確認することです。腹膜透析と血液透析の併用療法という選択肢もあります。まずは理由を確認してみましょう。
Q16
透析7年目ですが、手根管症候群と言われました。
- 相談者
- 血液透析患者、77歳、男性
- 相談内容
- 6年間の腹膜透析の後、血液透析に移行して1年経過しました。一ヶ月前から、右手がしびれてきて手根管症候群といわれ手術しました。今は完治したのですが、今度は左手がしびれてきました。手根幹症候群は、血液透析10年経過しないとでないと聞いていますが、なにが理由かわかりません。また、β2mgは、21ですが、透析中に吸着器具を使用できますか。ご教示ください。
- 回答
-
透析の年数は合計7年で、はじめの6年は腹膜透析をなさったとのこと。
一般にベータ2ミクログロブリンの蓄積による『透析アミロイドーシス』は、相談者の方もおっしゃるように長期の血液透析の合併症として知られているものです。透析歴10年以内では絶対起きないかどうかは確信がありませんが、少なくとも起きにくいはずです。また腹膜透析では血液透析に比べて『透析アミロイドーシス』が起こりにくいと考えられ、質問者の手根管症候群がもし『透析アミロイドーシス』のために起きたのだとすると、通常より進行が速い疑いがあります。
ただ手根管症候群そのものは、透析者以外でも起きることはそれほど珍しくはなく、『透析アミロイドーシス』以外の原因でも起きる可能性があります。加えて手のしびれは、手根管症候群以外の理由でも生じるかもしれません。
そこで、(あるいは主治医が既にされているかもしれませんが)お勧めしたいのは次の2点です。
1. 右手根管手術後、切除組織の顕微鏡検査がされたと思いますが、原因は『透析アミロイドーシス』でよいかの確認。
2. 左手のしびれが、手根管症候群のせいかどうかの確認。
これによって見通しが変わってくる気がします。たとえばもし原因が『透析アミロイドーシス』だとするならば、確かに多くの方と比べて進行が早い印象なので、原因物質であるベータ2ミクログロブリンが人より多くできてしまう状態(たとえば炎症など)がないか、調べていただくのがよいでしょう。
なお、血中のベータ2ミクログロブリンの値は、透析前で21だとすると、かなりよい値ではないかと思われます。
ベータ2ミクログロブリンの吸着カラムの使用ですが、適応は透析10年以上となっており、残念ですが質問者はまだ使用できないようです。
Q17
シャントを作りましたが、痛みがあり、コブのように腫れています
- タグ
- 血液透析
- 相談者
- 血液透析、39歳、女性
- 相談内容
-
2週間前にシャントをつくりました。
だんだん血管が太くなっているのを日々感じていますが、その血管あたりが妙に痛いです。
たまにずきんと痛みます。
ちょっとしたコブのようなもの(直径1cmぐらい)もあり腫れています。
大丈夫なんでしょうか
- 回答
-
透析のための内シャントを作成すると、血管を吻合した皮下の静脈には術前の5倍以上の血液量が流れ込みます。静脈の拡張に伴い(個人差がありますが)、軽度の違和感を感じることがあります。今まであまり十分な拡張が得られていない静脈がシャント血管として太くなり、機能し始めたことによると考えられます。あまり心配なさらなくても大丈夫だと思いますが、必ず毎日シャントの聴診と触診でのスリルの確認は行ってください。
シャント血管が血栓などで閉塞するときに患者さんは血管のチクチクする痛みを感じることがあるからです。
毎日のシャント観察で問題が無いようならば痛みは自然に消失すると思います。
コブについては、どこの場所に出来ているかが不明なのですが、手術をした吻合部近傍では、手術の影響、手術に伴い静脈を縛ってしまった場合、血管の走行が少し不自然になっている場合(吻合した上流の静脈が細くなっているために、狭窄部の手前が拡張することがあります)などの原因があります。
赤味を帯びていたり、痛みや熱感があるときには、感染が起こっている可能性もあるので、直ちに主治医の先生にご相談ください。
Q20
透析を始めたら、性的機能障害になりました。改善方法はありますか?
- 相談者
- 血液透析、39歳、男(相談者:患者家族)
- 相談内容
- 今年になって主人が透析を始めました。そしたら勃起しなくなりました。透析は週3で4時間実施。高血圧傾向です。主治医に相談するように夫に言うのも抵抗があって、メールしました。何か改善方法ありますか?
- 回答
-
維持透析を受ける男性患者で性的機能障害を訴える人は、少なくありません。多岐に渡る医学的および心理的な要因がこの問題に絡んでいます。
性的機能障害には、(1)勃起障害(ED)、(2)性的欲望の低下、(3)自信の喪失、(4)アクメの欠如などが含まれます。(1)は男性患者に特有な状況であり、以下のような原因が推測されます:(1)投薬(降圧薬特にベーターブロッカー)、(2)末梢血管または冠動脈疾患、(3)内分泌異常、(4)自律神経失調、(5)体力低下、(6)心理的な因子(うつ傾向・不安症候群、自信喪失、自己嫌悪など)。
対策:1)十分な透析を継続する、2)栄養への配慮、3)十分な運動と睡眠が非特異的ながら基本となります。その上でEDを取り扱う泌尿器科への受診をお勧めします。バイアグラなどの薬剤の内服は効果を期待できますが、専門医に相談したうえでの内服が望まれます。患者が若ければ本人が辛いのでしょうが、恥ずかしがる必要はなく、ご夫婦で話し合った末に、専門医受診をすることが得策です。
Q21
ドライウェイト・心胸比の考え方についておしえてください
- タグ
- 血液透析
- 相談者
- 血液透析、51歳、男性
- 相談内容
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ドライウェイト・心胸比の考え方についてご相談いたします。
血管保護・心臓保護の為に心胸比は限りなく45~40%に近づけるのがいいのでしょうか? これを目標にすると透析後もキツイ上に起立性の貧血も現れる上に倦怠が強く仕事も手につきませんでした。現在は3.0㎏以上上げてもらい解決しましたが、慣れるまで低いドライウェイトを維持しQOLを犠牲にするのが良いのか、自身の調子に合わせるのが良いのか。 ちなみに現在の心胸比は49%でドライを上げましたが心胸比は維持しております。一律40何パーセントと当てはめる方が矛盾していると思うのですが、心胸比が高いからドライを下げる・維持となるのです。調子は良いのですがただ将来に影響を及ぼすと言われると不安です。
- 回答
-
血液透析のドライウェイトを、胸部X線の心胸比によって一律に決めることはできません。妥当なドライウェイトの状態での心胸比は個人によって違いますし、さらに年月が経過することで変化していきます。
ドライウェイトの設定について、透析後半や終了後に血圧が下がって、だるいとか、ふらふらするとか、筋肉がけいれんするとか、吐き気その他の症状が出るのであれば、ドライウェイトの設定が低すぎる可能性があります。ただしそれ以外の場合でも、例えば透析前の体重増加が大きいために一回の除水量が過大である場合、また患者さんの心機能が良くないなど循環器系に余裕がない場合にも、血圧低下はみられることがあります。
このため医者としては、何か客観的な検査値により、ドライウェイトが適切かどうか裏付けを取りたいところです。胸部X線の心胸比は比較的検査が容易であることから、以前からドライウェイトの目安として利用されてきました。ただし撮影の条件(立位か臥位か、吸気は十分か、など)、体格(肥満があるかなど)、骨格などによって個人差があり、心胸比が何%であれば良いというような、絶対的な基準はありません。そこで最近ではこれに加えて、超音波検査による下大静脈径や左心房径、血液中のヒト心房性利尿ペプチド(hANP)の値などが参考にされることがあります。
また一般に心機能が良くないと、心胸比は大きくならざるを得ない傾向はありますが、心胸比をいくつ以内にすれば、将来の心血管系合併症を減らせるというような研究はないと思います。むしろ透析ごとに血圧が低下して症状が出るというのは、一時的にせよ内臓への血流が不足したわけですから、証明は難ですが健康によくない可能性があり、少なくとも内シャントの開存には不利に働くものと思われます。
Q22
病状は違うはずなのに、どうして血液透析はみんな一様に週3回なのでしょうか?
- タグ
- 血液透析
- 相談者
- 血液透析、62歳、男性(相談者:患者家族)
- 相談内容
-
62歳の夫は、糖尿病からの腎不全で、昨年2月より週3回の血液透析を受けています。
最近他の方の事例を聞くたびに疑問に思うことがあり、お尋ねさせていただきます。病状は人それぞれ違うはずなのに何故皆一様に週3回なのでしょうか? そして日・月のみ2日お休みがあり、その時が唯一ホッとできる時と言っておりますが、一週間に一度は、2日おいてもOKで後は一日おきでなくてはならないのは、何故なのか、病状にあわせた透析を行って下さるような病院はないものなのかそんな思いが湧いてきております。できるだけ長く仕事をつづけるのが夢です。
- 回答
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透析導入より1年経って、ご主人様の体調もそれなりに安定してきたのではないかと拝察いたします。ご存知のように血液透析は24時間働く腎臓の代わりをしてくれているわけで、透析が空いたときの2日目は辛いという人もかなりいます。あなたがおっしゃるように、月水金の次は日火木土と1日おきにするほうが体にはやさしいのですが、患者さんにとっても、毎週透析の曜日が変わるのは不便ということもあり、また施設の設備や、職員の勤務態勢の問題もあり、現在のような形が取られているものと思われます。
オーダーメイドの透析が理想ではありますが、そのためには、今以上に費用もかさみ、健康保険の支払い側の了解も得にくいのが実状です。
もしご主人様が永くお仕事を続けるために、今以上に体調を良くしたいとお考えでしたら、自宅に小型の透析機を置いて行う、在宅透析をされるのがベストかと思います。これですと、毎日、夜3時間だけとか、1日おきに5時間の透析をするとか、自分で自由に設定が可能です。在宅透析をしている人は皆さん、自分のライフスタイルに合った透析を設計して、元気な方が多いです。
ただし、在宅透析にすると多少の工事が必要なことと、電気代と水道料は自己負担になりますので、現在の施設透析の時より少し負担が増えます。もっとも、多額の交通費を使って病院に通っている方は、あまり違わないという人もいます。より快適な透析をして、長くお仕事を続けたいという御希望の方には、在宅透析なら、オーダーメイドでできますので、検討に値するかと思います。
Q24
腰部脊椎管狭窄症ですが、マッサージをしても大丈夫ですか?
- 相談者
- 血液透析、67歳、女性(相談者:患者家族)
- 相談内容
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母は現在2日に1度人工透析に通っていますが、腰部脊椎管狭窄症のため足が辛いようです。マッサージ治療をしている整骨院がありますが、透析患者はマッサージをしても大丈夫ですか。
血がサラサラになる薬も飲んでいるので、電気をかけたりしても大丈夫なのか?
少しでも痛みを緩和させてあげたいので、できれば通わせてあげたいのですが?
- 回答
-
病態:腰部脊柱管狭窄症は、長期透析患者によく発症いたします。
多くの場合、通常の加齢変化(変性)のほかに、維持透析患者では脊柱管の靭帯組織や硬膜外へ「アミロイド」と呼ばれる物質が定着してくることを原因とします。
症状:歩行時の痛み、下肢の痺れ、ひどくなると歩行障害などが出現します。
診断:X線写真、CT撮影、特にMRI撮影が診断を決めるうえで、有用です。
治療:基本的には保存的療法となり、消炎鎮痛薬や外固定、筋力訓練などから始めます。マッサージには「強マッサージ」と「弱マッサージ」がありますが、弱マッサージを短時間受けてみて、患者さんがどう感じるかを確り聞くことが大切です。結果が良く、マッサージを加える患者さんの皮膚の状態を直後と日を置いて観察して変化がなければ、続行していいと思います。マッサージの目的は血行の改善と筋力保持(改善)にあります。患者さんは抗凝固薬や 抗血栓薬をお飲みのようですので、強マッサージをまずは避けるべきと考えます。歩行時に強い痛みがあったり、このため歩行不能な状態であれば、手術的な治療を考える必要があります。
担当の透析医から経験のある整形外科医を紹介していただくことをお薦めします。
Q26
高齢透析患者、夏の生活注意点をおしえてください
- 相談者
- 血液透析、74歳、男性(相談者:患者家族)
- 相談内容
- 74歳の父親。猛暑の時期、中水分制限(800cc以内)があると熱中症対策の一つである水分をこまめに取ることができないので、どうしたらいいのかと困っています。
- 回答
-
夏の生活注意点ですが、透析をしている方は、一般の方のように、暑いからといって水分補給をこまめにするという訳にはいきません。そこで、先ず熱中症になる可能性のある日中の外出を極力避け、朝夕の涼しい時間帯を選び外出なさるようにしてください。
透析患者さんの場合は、余分な水分がそのまま体に蓄積すると大変なので、水分の取りすぎには、特に気をつける必要があります。
さらに健常者には、塩分の補給も大切ですが、透析患者さんは、決して塩分を取りすぎてはいけません。
透析をしている方は、健常者と同じように考えないほうが安全です。
Q27
ダイヤライザーに血液を残したままで、気になります
- タグ
- 血液透析
- 相談者
- 血液透析、57歳、男性
- 相談内容
- 血液透析を受けて約1年が経ちました。たわいもない質問ですが、透析終了後にダイヤライザーから返血する時に、まだダイヤライザーに血液が残っていて淡い赤色をしているので、白くなるまで待って返血してくださいと言ってみても聞いてくれない看護師がいます。本人曰く、以前は全部返していたが、現在は返血方法が変わってエアーが入るよりはある程度残すのだと言いますし、残っているのはほんの数十CCだと言います。他のスタッフはダイヤラーザー本体が白くなるまで返血するケースが多いです。一回あたりほんの数十CCと言っても一日おきに透析を受けている身にはちりもつもれば・・・で貧血もひどい中「もったいない」と素朴に考えるのですが、ダイヤライザーの返血は基準がどのように変わったのでしょうか。これくらいの量では貧血とはあまり関係がないのでしょうか?
- 回答
-
返血の基準が変わった、ということはありません。
生理食塩水を使って返血するので、最後に残った液体は、赤く見えても血液がどの程度含まれているのかわかりません。予定通り除水が行われた後、血液がなくなるまで戻すと水分が増えてしまう可能性もあります。
貧血のある方にとっては、一日おきに、少しずつでも血液を失いたくないと思うお気持ちもお察しいたします。
主治医の先生に、貧血があっても、血液を残したまま終わったほうが良いのかどうか、スタッフによって差があることも含めて、直接お尋ねになってみてはいかがでしょうか。先生からきちんと理由が説明されれば、納得がいき、また、安心できることと思います。
Q28
透析を始めると尿が出なくなるのはなぜですか?
- 相談者
- 血液透析、52歳、男性
- 相談内容
- 透析を始めると尿が少しずつ出なくなってくるのは何故ですか。また透析中に脈が40回前後と少なくなるのはなぜですか。
- 回答
-
血液透析にはいった当初は、まだ腎臓の働きも幾分残っています。しかしながら、短時間に体の中の水分や塩分などを急速に取り除くことを頻回に行うと、体液量の変化や浸透圧の変化により腎での虚血(腎への血流が少なくなる状態)がおこり、残腎機能が低下すると考えられています。
血液透析でも透析間の体重増加が少なく、1回の除水量がほとんどないか、あるいは、きわめて少ない場合には、比較的残腎機能が保たれます。また、24時間かけてゆっくり行う腹膜透析の場合には、血液透析よりも残腎機能が長期に保たれるとされています。
透析中に脈が少なくなった場合に、何らかの症状はありますか(気分不良や ボッートした感じなど)。もともと、スポーツをしていた方では通常より脈が遅い(徐脈といいます)方もいます。心臓の状態や現在飲まれているお薬の影響で脈が遅い方もいます。また、透析や慢性腎臓病の患者さんでは、高カリウム血症を呈すると徐脈になり、気分が悪くなり、緊急で治療を必要とする場合もあります。
一度、主治医の先生に徐脈の原因をしらべてもらう方がよいかもしれません。もともとの心臓の状態、現在飲まれているお薬の影響など、いろいろと考えられます。通常の胸部レントゲン写真や心電図、心エコーなどの検査、必要ならば、24時間心電図(ホルター心電図)での検査も有用です。
ぜひ、主治医の先生と相談して下さい。
Q30
90歳の母、透析6年、今後についてのご相談です
- 相談者
- 血液透析、90歳、女性(相談者:患者家族)
- 相談内容
-
母が血液透析を始めて6年になります。シャントの作り替えや、人工血管など、様々な手術や治療を施し、今はもう選択肢が無くなった状態です。
それは死を意味することですが、母も私たち家族も覚悟をしています。問題は、透析を止めた後の尿毒症などの緩和ケアです。自宅でも病院でもなんとか苦しまないで旅立つ方法はないのでしょうか。癌の緩和ケアなどは情報が沢山ありますが、腎臓病に関してはまったくありません。
ちなみに母はこの腎ネフローゼ以外は何の病気もありません。頭も、心臓もしっかりしており、糖尿もありません。母は何度か尿毒症の苦しみを経験したことがあり、死よりもあの苦しみの恐怖に怯えている状態です。
- 回答
-
維持血液透析に必須の血管アクセス(シャント)が機能しなくなり、再作製が不可能か著しく困難な場合には、次の3つの選択肢があります。
1)血管カテーテル法でシャントを代用する(頚静脈か大腿静脈に管を挿入留置します)感染症が一番怖い合併症です。
2)血液透析を断念して、腹膜透析に変換する。病院で腹膜透析の訓練を受けて、家庭で自己実行するのが一般的ですが、高齢者の場合には介助者が必要になります。ずーっと入院できればいいのですが。腹膜カテーテルを腹腔内に入れる手術が必要です。
3)透析療法を中止して、保存緩和療法とする。
患者さんはご高齢ながら意識や心機能がしっかりしているようですから、1)2)の選択でしょうか。主治医との相談・検討が必要です。
尿毒症のご心配は分かります。もし、余命が短いと判断されれば、鎮痛・鎮静をさまざまな程度に行うことが可能です。苦痛を回避できますが、傾眠がちになりましょう。
なお、無尿の患者さんが透析を止めると5-10日で命の終焉を迎えます。
Q31
血圧のコントロールについておしえてください
- 相談者
- 血液透析、50歳、男性
- 相談内容
-
透析歴(腹膜透析3年4か月、血液透析1年3か月)の患者です。血圧が、朝で220/110と高めです。血圧をコントロールするために、様々な薬剤を服用してきましたが、どれも強烈な全身倦怠や爪の異常など、激しい副作用が発現し、服用する薬がありません。
ホルモン系の検査も異常がなかったのですが現在高いまま放置状態です。
高血圧に対しての対処方法、治療法について教えてください。
- 回答
-
これは難問です。主治医の先生もご苦労なさっておられるものと推察いたします。
一般的に透析歴が長くなるとともに高血圧が管理しやすくなることが多いので、質問者のように比較的最近になって血圧管理が困難になってきた経緯は、やや異例ではないかと思われます。ホルモン的な検査もなさった由ですが、今一度二次性高血圧の存在を検討される余地があるのではないかと考えます。例えば腎血管性高血圧という状態は、通常では血清レニンという物質が高値になるのですが、経過が長い場合とか両側の腎動脈狭窄がある場合には、レニンが正常値の場合があることが知られています。
もしHD開始後(高血圧が難治になってから)実施しておられなければ、造影X線CTで腎動脈とか副腎方面を撮影して見ると、ひょっとしたら何か有用な情報が得られるかもしれません。ただし質問者にはいろいろ薬剤アレルギーがおありのご様子なので、もし造影剤にアレルギーがあれば上記検査は無理ですが。
また質問者が腎不全になった原疾患は、わかっているのでしょうか。腎動脈の異常とは無関係でしょうか。
数々の薬剤アレルギーにより、現在主力になっている多くの降圧薬がご使用になれないことも、もちろん血圧管理が難しい原因にちがいありません。カタプレスでアレルギーが出ないのであれば、これを少しずつ増量する選択があるかもしれません。カタプレスは腎排泄性の薬剤で、薬剤は透析により除去されないのですが、日本腎臓学会の最新の「CKD診療ガイド2012」によれば、透析者では腎機能正常者と同量を慎重投与、とされています。極量は一日900μg(75μg錠で12錠)となっています。
これまでアレルギーが生じなかった他の降圧薬は検討の余地があります。古いのですが、昔はアプレソリンなども透析者に使用していました。
なお一般的に、血液透析のドライウェイトを適正にする、食塩摂取量の制限、可能な範囲での運動、(肥満であれば)減量、(喫煙者ならば)禁煙が、血圧管理に有利となります。
Q32
透析時間はどのくらいまで延ばすのがよいですか
- タグ
- 血液透析
- 相談者
- 血液透析、47歳、女性
- 相談内容
-
透析導入1年半。現在の状態:月⇒オンラインHDF3時間半 水・金⇒HD3時間半
これまで、透析時間を延ばしてほしいと主治医に希望しても「3時間半で十分透析されているから、今はまだ大丈夫」と言われてきました。
間もなくHHD(在宅血液透析)に移行しますが、現在週10, 5時間の透析時間を、どのくらいまで延ばすのがいいと思われますか?
回数としては、介助してくれる娘の負担を考えて週5回程度の予定です。それぞれ仕事がありますので早くて20時頃からの透析開始になり、1回の透析時間はあまり長くできません。
- 回答
-
透析時間をなるべく短くしたいと希望される患者さんは多いです。
ご自身のライフスタイルに合わせ、透析の時間や回数を自由に設定できるのは、在宅血液透析の大きな長所の一つです。週5回程度の血液透析を考えておられるようですね。週5回以上行う治療法は連日透析と呼ばれ、透析の治療効果を高めるためには非常に有効な方法です。具体的なスケジュールは国や施設によりまちまちですが、1回1.5~3時間程度の短時間で、週5~7回程度の回数治療が行われています。1回あたりの透析時間は少なくても、透析回数を増やすことにより、週3回1回4時間の標準的な透析治療と比べ、高血圧の改善、栄養状態の改善、生活の質の改善、血清リン値の低下、心臓の負担の軽減等、多くの良い効果が得られることがわかっています。従って、質問者の方が予定されている、週5回という透析回数は、質の高い治療を行う上で十分なものだと思います。
では1回の透析時間をどのくらいにすれば良いのでしょうか?
透析時間も、当然長ければ長いほど良いように思えます。夜間睡眠中に透析治療を行うことにより、週6~7回、1回8~10時間という頻回長時間透析をおこない、腎移植治療を行った場合に勝るとも劣らない治療効果が得られたとの報告もあります。しかし実際に在宅血液透析を行う場合の治療時間は、患者さんのライフスタイルや治療を提供する医療スタッフ側の管理体制によっても大きく制約を受けます。現状では、安全面からも在宅透析で睡眠中に治療を行うことは困難です。
質問者は夜8時からの治療を考えておられるようですね。この場合、治療前の準備、治療終了後の止血、片付けを考えると、長く続けていくためには、1回3時間程度(週15時間)の透析時間が限度かとも思います。週5回、1回3時間の治療を行うとすれば、今までよりはるかに高い治療効果が得られ、体への良い影響が期待されます。また仮に1回2時間、週5回、週あたりでは10時間と、総量では現在とほぼ同じ透析時間で行ったとしても、治療の効果は現在行われている1回3, 5時間、週3回の治療よりも高くなります。週あたりの透析時間が同じなら、透析回数を増やしたほうが治療の効果が高まるためです。
結論としては、
週5回、透析時間は3時間。しかし都合や体の状態により、最低限2時間で可。
もちろん、時間に余裕があるときは3時間以上の治療を行えればなお良いです。
Q33
透析中、隣のベッドの患者さんの咳が長引き、気になっています
- タグ
- 血液透析
- 相談者
- 血液透析、72歳、男性
- 相談内容
-
小生の隣のベッドの方が、かなり以前からおかしな咳をしておられるのが気になっていたのですが、最近それが痰まじりのひどい咳になってきています。
ところが、このほどその方と医師の会話の内容から、その方はどうも結核を患っておられることがわかりました。
結核については、最近は即隔離の必要はなくなったと聞いていますが、小生を含め周囲の患者はいずれも免疫力の低下している人々であることから、感染の恐れがないか心配です。
スタッフの方にお聞きするのもはばかられる気がしてどうしたものかと考えているのですが、アドバイスをいただければと思います。
- 回答
-
隣のベッドの患者さんの咳が長引いては、大変気になりましょうね。当然のことです。担当医の話を漏れ聞いて、その患者さんの病気が「結核」らしいとなれば、一層のことでしょう。
遠慮せずに、担当医にお尋ねになるのがよいと考えます。
「結核であるのか否か」
・「結核ではない」: 安心ですが、「長引いている原因は何か?」
・「結核である」: 周囲の患者への感染危険度はどうなのか・・・
…結核であり排菌していれば、そのまま隔離しないで透析をそこで継続することは一般常識として考えられません。
冷静に話し合いを持つことが必要で、同様な心配をしている他の患者さんがいれば、ご一緒に医師に尋ねるのがよいと思います。
Q34
透析日の不規則サイクルについて
- タグ
- 血液透析
- 相談者
- 血液透析、74歳、男性
- 相談内容
-
1年8ヶ月前から透析治療を受けていますが、3ヶ月前から週三回になりました。
火曜の午前、水曜の午後、土曜の午前という不規則な間隔であることが疑問なのですが、病院の事情だと思い、医師に伺っていません。
透析後の体重も1キロほど増えました。1日置きと比べて何の問題もないでしょうか。
- 回答
-
透析と透析の間隔が長くなれば、その分水分、老廃物の貯留が多くなり、肺水腫による息苦しさ、またカリウムの貯まりすぎによる不整脈の危険が高くなります。また透析中には、水分や老廃物が急激に除去されるために、血圧の変動や体への負担が大きくなります。このため透析と透析の間隔を長く空けるのは好ましくありません。
月・水・金曜日、または火・木・土曜日など、一般的なスケジュールで週3回の透析治療が受けられている患者さんの場合、透析と透析の間隔が2日間と長くあいてしまうのは週末の1回のみです。一方、質問者の方の現在の透析スケジュールですと、水曜と土曜の間、および土曜と次の週の火曜の計2回、透析と透析の間隔が2日間あいてしまいます。このことが、やや質問者の方の体の負担を増やす可能性を懸念いたします。
質問者の場合、水曜日は連日で透析を行っていますので、体重の増えも少なく、透析中の経過も安定しているのではないでしょうか。水曜日の透析終了後には老廃物が十分除去され、血液は極めてきれいな状態になっています。一方、火曜日と土曜日の透析の際には、前回の治療から2日間空いていますので、それだけ水分と老廃物の蓄積が多くなり、透析の前後を通して体に負担がかかり易い状態となっています。
質問者は、最近になって透析の回数を2回から3回に増やされたばかりとのことですので、まだ少し尿が出ており、ある程度余裕をもって透析治療を行っている状態であると推察いたします。週2回で治療を行っていたころと比べれば、透析と透析の間の間隔は短くなっていますので、現在の不規則な透析スケジュールの下でも、すぐには体への大きな悪影響はないように思います。
しかし、なるべく均等に、間隔を空け過ぎずに透析を行い、体への負担を最小限にすることが望ましいと思います。現在火・水・土曜日というやや変則的なスケジュールで治療を行っているのは、おそらくそこでしか透析ベッドが確保できない等の病院側の都合によるものもあるかと思われます。すぐに標準的なスケジュールに移行することは難しい場合もあります。そこで、まずは透析室の担当医とご相談いただき、将来的には月・水・金または火・木・土に透析を行いたい旨、伝えていただくのがよろしいかと思います。これらは決して無理な要求ではありませんので、先生も気分を害されることはないかと思います。
Q35
透析患者のアンモニア臭について
- 相談者
- 透析患者、53歳、男性(相談者:患者家族)
- 相談内容
-
透析患者のアンモニア臭についてのご相談です。
父は、多発性嚢胞腎による腎機能の低下に伴い、週3回血液透析を行っています。
最近になってアンモニア臭が強くなり、母と共にどうするべきか悩んでいます。
タンパク質などの食事制限の他に、透析時間を伸ばせば改善するのでしょうか。
- 回答
-
アンモニア臭ですが、尿毒症症状の時(透析導入時)の症状としてよく観察されますが、この方の場合にはすでに維持透析が安定している状態であるならば、少し話は違ってきます。
1つ目の可能性は、尿毒症の状況と同じで透析不足になっていないでしょうか?
血圧低下が頻繁に起こり透析時間がいつも短くなったり、除水だけ行い透析を実施しないことがあるかどうか。この場合には透析時間や透析効率を十分に確保することをクリニックのスタッフとお話しください。
2つ目の可能性は、胃や十二指腸からの出血があるかどうかですね。
血液をサラサラにする薬を飲んでいる方ならば、便潜血反応の検査や内視鏡などの検査を定期的に受けられることが良いと思います。
以上は、アンモニア臭に関してです、もしも血液検査で高アンモニア血症がある場合にはまた違った対応になります。
Q36
腎機能低下と性的欲求の低下は関連がありますか
- 相談者
- 血液透析、54歳、男性
- 相談内容
- 血液人工透析を始めてまもなく一カ月です。腎機能が落ちてきたと一昨年ごろより感じておりましたが、太ももの体毛が薄くなり、性的な欲求に勃起が伴わなくなりました。腎機能の低下とこれらの症状とは関連性があるとの事をあるところで読みましたが、回復させる道はあるものでしょうか?
- 回答
-
ご質問の症状(インポテンツ)は、日本人の妻帯男性205例(年齢:21~81歳、平均48.3歳)の透析患者(透析歴2カ月~19.9年、平均6.6年)を対象に実際に調査した結果によれば、性交頻度は同年代の男性6,426例と比較すると一目瞭然に少ないことが判っています。
さらに外国の透析患者では、陰茎の勃起の不完全を自覚する頻度が、50歳未満で63%であるが、50歳以上ではさらに多いと報告されております。
さらに陰茎周囲増加値を実測した報告では、健常者でも年齢の増加(30歳代→60歳代)に伴い少しづつ低下するものの、透析患者では40歳代から急速に低下幅が増加し、インポテンツ域に入る頻度は40歳代27.5%、60歳代で52.0%に増加します。
インポテンツの原因は多彩で、前立腺などの手術や放射線療法による神経や血管の損傷でも起こりますが、単に自律神経障害でも起こります。エリスロポエチンが登場してからインポテンツが減少したことから、高度の貧血も原因の一つと考えられました。さらに男性ホルモン(テストステロン、ゴナドトロピンなど)の低下も原因として想定されました。
しかしインポテンツは糖尿病でも良く出現します。ですから単に腎不全だけが主因であると決め付けることはできません。腎不全や糖尿病などでは、何らかの非生理的物質の蓄積や、逆に生理的物質の不足が誘因になることも想定されています。
中でも特に、血管内皮細胞から放出される血管拡張因子(NO)を介したcGMPと言われる物質の低下が、強く疑われるようになりました。このcGMPを分解処理しているPDE5と呼ばれる酵素の働きを邪魔して、結果的にcGMPを長く作用させる薬が登場しました。それが「バイアグラ」などの薬剤です。
わが国ではこの種の薬は3種が保険薬として認可使用されておりますが、レビトラ(vardenafil)は透析患者では使用禁忌ですので、実際には透析患者ではバイアグラ(sidenafil)とシアリス(tadalafil)の2種が使用されています。しかしこのふたつの薬剤とも、中等度~重度の腎機能障害では副作用を避けるために、使用量を減らしたり間隔をあける配慮が必須となります。
十分な知識と経験のある医療機関で処方を受けることが重要です。
エリスロポエチンで貧血を十分に改善した上で、この新しい治療薬の使用を主治医とご相談なされては如何でしょうか。
Q37
急速性糸球体腎炎と診断されました 透析後全身が重く感じられます
- 相談者
- 血液透析、69歳、女性
- 相談内容
-
「急速進行性糸球体腎炎」と診断され、現在血液透析を週3回しています。
最近、左上腕と両太ももに赤い斑点ができたが原因不明。bunが高いことから透析も2回から3回に増えました。
また、透析後に足が非常にだるく、特に透析で水分を抜いた日は全身が重く感じられます。原因は水分に関係ありますか。
- 回答
-
急速進行型糸球体腎炎とのことから、比較的短期間で透析に入られ、ステロイド剤など原病(腎機能が悪くなった原因となった病気)に対しての薬が継続されていると思います。赤い斑点ができたとのことで、ステロイドの増量や、腎機能の悪化などで尿素窒素が高くなり、そのために透析の回数も増えたと思います。
赤い斑点は、血管炎による(急速進行型糸球体腎炎は、血管炎による腎臓病です。皮膚に赤い斑点などがでたり、肺の合併症など全身の症状を合併することがあります)斑点で、血管炎の皮膚症状ではないかと思います。そのことから、ステロイドを増量されたのだと思います。透析にはいられて、腎臓は一見落ち着いたようにみえますが、他の症状などの合併で、ステロイドや時に、免疫抑制剤といった薬も併用されることがあります。1年くらいは、ステロイド剤などで、管理することになるでしょう。
透析後に足がだるく透析で水分を引いた日は、全身が重い症状がある時は、
1)透析治療による変動に体がまだ慣れていないこと
透析に入ってまだ期間が短いので、透析治療に体がなれていないことも一因と考えます。
透析後には、水分を除去することや、老廃物を短時間の間に除去することなどに、体がまだ慣れていない場合があります。
2)透析後の血圧低下によること
透析でたまった水分を除去しますと、透析終了時には血圧が下がり、倦怠感や体が重い感じがします。 透析を始める朝の血圧、終了後の血圧はどのくらいでしょうか。透析後に血圧がさがる場合には、ドライウエイトが増加してきている(実質の体重が増加している場合があります)。
このような場合には、スタッフの方が、ドライウエイトを上げるなどして、調整してくれます。
3)透析と透析の間(透析間の体重増加)が多い場合
透析と次回の透析の間の体重増加が多いと、一度に沢山除水(水分を除去する)をする場合には、透析後の体調不良があります。
塩分、水分の管理が基本となります。スタッフの方からも、指導があると思います。
1年を経過すると、体調的にもバランスがとれ、ご自分でも透析治療に慣れてきて、社会復帰やいろいろ活動性も高くなり、充実した毎日が過ごせるようになると思います。
Q38
透析中の血圧低下について
- 相談者
- 血液透析、70歳、男性
- 相談内容
-
血液透析、週1回4時間。クレアチニン11.3
ここ連続3回大貧血、嘔吐、足がつる。前病院は透析液が合わないので、変えてもらいました。
現病院は、回数を増やせば解消するという。ちなみに前病院と同じ透析液を使用しています。
- 回答
-
ご質問の文面から“貧血”を“透析中の血圧の低下”と解釈して解答させていただきます。
透析中の血圧低下にはさまざまな原因があります。
ご質問の中にありました“透析液が合わない”というのは、さく酸不耐症と呼ばれる体質のことを言います。この体質をお持ちの患者さんは、透析液の中に微量に含まれるさく酸という物質が体に合わず、透析中に血圧が下がってしまうことがあります。現在ご使用になられている透析液にはこのさく酸が含まれておらず、血圧低下が起こりにくい透析液ですので、質問者の血圧低下の原因は他にあるのだろうと思います。
次に透析中に血圧が低下してしまう原因は、
①除水量が多い
透析治療中は、血液から老廃物と余分な水分が取り除かれます。このため透析治療により血液は濃縮され、一時的に量が少なくなります。血圧とは、簡単に言い換えれば、指で触った時にどのくらい血管が固く張っているかを示している値です。水を入れてぱんぱんにふくれ上がった水風船を想像してみてください。風船の表面は固く張っています。これが透析前の血管の状態です。次にこの水風船からゆっくりお水を抜いてみましょう。水風船はゆっくりしぼんでいき、表面の張りもなくなっていきます。これが透析中に血圧が低下した状態です。1回の透析治療でたくさんの水を抜けば抜くほど、血管は大きくしぼむので、当然血圧は下がります。
1回の透析治療で血圧が下がらずに安全に除去できる水の量は、多く見つもって体重の5パーセント程度と考えられています。体重50キログラムの方であれば、2.5キログラムが限度です。もし透析前と比べて、透析終了後に5パーセント以上体重が減っているようであれば、透析中の除水量が標準より多いということになります。これが透析中に血圧が下がってしまう大きな原因と考えられます。この場合の対策は、ゆっくりと時間をかけて体にたまったお水を除去することです。週1回の透析では、1週間の間にたまった水を1回の治療で除去しなくてはならないので、当然血圧は下がりやすくなります。透析の回数を週2回または3回に増やせば、1回の治療で除去する水の量が少なくて済むので、当然血圧は下がりにくくなります。
もしそれほど除水量が多くないにも関わらず血圧が低下してしまうようであれば、以下の原因がないかも検討してみる必要があります。
②ダイアライザーアレルギー
ダイアライザーは、いくつかの種類があるのですが、材質が体に合わないとアレルギー反応をおこして血圧が低下することがあります。ダイアライザーを変えた途端に血圧が安定するということを、まれではありますが経験します。
③心機能の低下
心臓の動きが悪かったり、心臓の弁の調子が悪かったりすると、透析中の血圧低下が起こりやすくなります。心臓の機能は、心臓超音波検査を行うことで比較的簡単に知ることができます。
④血圧の薬の影響
血圧の薬の量が多いと、透析中に血圧が下がりやすくなります。質問者は“ブロプレス”しか血圧の薬を飲まれていないようなので、それほど強く薬が効いている状態ではないですが、透析の日はブロプレスの内服を中止する、もしくは透析が終わってから飲むように変更すると、透析中の血圧が安定する場合があります。
⑤血液成分の異常
血液成分のうち、タンパク質の一種であるアルブミンの値が低い、またはナトリウムの値が極端に低い、カルシウムの値が極端に低いなどの場合には、透析中に血圧が下がりやすくなります。これらの値は定期的に検査しているはずですので、大きな異常がないか確認してみてください。
その他糖尿病があると血圧を調節するための自律神経が障害されるため、透析中に血圧がさがりやすくなります。
ここからはまとめです。質問者の普段の血圧、体重増加の程度、尿量等が分かりませんので、断定的なことは言えません。
もしご自分の尿がほとんど出ない場合、体調を良好に保つためには週3回の血液透析を行うことが必須です。質問者は週1回の透析ということですので、まだある程度ご自分の尿が出ているのだと思います。しかし透析開始後2年経過しているので、以前と比べれば尿量は少なくなってきているのではないでしょうか?
それに伴い透析と透析の間の体重が増えてきているのではないでしょうか?
クレアチニンの値が11.13とのことですので、体への老廃物の溜りもやや多いように思います。もしこのような状態であれば、週1回での透析治療では、現在の体の状態に合わなくなってきており、それが透析中の血圧低下として表れているのではないかと考えます。主治医の先生のおっしゃる通り、①週2回へ透析回数を増やしてみてください。透析中の血圧が安定し、普段の体調も上向くのではないかと思います。同時に、②ダイアライザーは体に合っているのか、③心臓の機能は問題ないのか、④血圧の薬の飲み方は適切なのか、⑤血液検査の結果に問題はないのかといったところを、担当の先生に伺ってみてください。
Q39
PDからHDに変更しましたが、レストレスレッグス症候群が改善されません
- 相談者
- 血液透析、44歳、女性
- 相談内容
-
2年前から腎不全(紫斑病性腎炎)で腹膜透析導入。半年で浮腫みUP、レストレスレッグス症候群、排尿がなくなる。
透析液や機械を変えるが週1回血液透析併用から週3回になる。透析中にレストレスレッグス症候群の症状強くなり透析をオンラインに変更するが両下肢の痛みが出現。痛み止め、漢方、効果なく整形外科や神経内科受診。はっきりした原因なく心因性と言われ、薬を処方されて様子見る。
夜は眠れるが両下肢の痛み変わらず。泣くほど痛い。酢酸の入らない透析液に変更すると透析中はいいが帰宅後足の痛みと体のだるさが強く出現する。腹膜透析の時具合が悪く、血液透析にしたらどれほど楽になるかと期待したがさらに悪くなった。どうしたらいいのか。透析というものが合わないのか?
- 回答
-
現在の1つの症状であるレストレスレッグ症候群は、脚に不快な感覚が起こり、脚を動かしたくてたまらない衝動感、不快感を特徴とする病気です。
一般の方でも出現しますが、透析患者さんでは頻度が高い事が知られています。その原因として、尿毒症の影響、透析不足、貧血とくに鉄欠乏との関連、高リン血症の影響などが考えられています。
そのような中で、現在のあなたの主治医の先生は、3つの方法でいろいろなアプローチをされています。
* まず、透析方法については(透析不足などを考え)、腹膜透析から週1回の血液透析併用、さらには週3回の血液透析への移行、さらにはオンライン透析や無酢酸透析などを試みています。
* また、薬物療法にしても芍薬甘草湯、リリカ、ビ・シフロールやリボトリールなどを投与し、症状の推移をみています。
* さらには、整形外科や神経内科へのコンサルトなども取り入れているようです。
このようにレストレスレッグ症候群の治療の一つをとっても、透析方法、薬物療法、他科へのコンサルトなどを行うことにより、症状は完全にとれないまでも、普段の日常生活に支障のないレベルにはもっていけるものと考えています。透析を専門にする者からみても、様々なアプローチですばらしい治療をうけているのはまちがいありません。それでも疼痛が改善しない場合、原因がはっきりしなくても麻酔科などでのペインクリニックなどもあるようです。
Q41
腹膜透析2年、そろそろ血液透析をといわれ、ショックを受けています
- 相談者
- 腹膜透析、63歳、女性(相談者:患者家族)
- 相談内容
-
高血圧症からの腎不全で妻は、当初3ヶ月はAPD,その後は、CAPDに移行し、現在自宅にて治療中2年目です。
CAPDは1日4回行っていますが、今年の5月から除水量を増やすため夜の1回は長時間貯留で除水効果があるという透析液にに変更されました。
1日の平均差引除水量は600~1000mlです。足のむくみも引いて楽になったようです。月1回の検査時に、担当医からそろそろ血液透析への移行を言われてショックを受けています。車での旅行が好きでツインパックの利便性にも慣れてきています。腹膜の状況で3年~5年と聞かされていました。もう少し現在の治療を続けたいのですが、最近、痰がからむような咳き込みが多いのですが関連がありますか。
- 回答
-
まず、主治医の先生に血液透析への移行の理由をお尋ねになりましたでしょうか?
ご本人の感じている体調とは別に先生は何かお気づきのことがあり、血液透析をすすめられているのかもしれません。
きちんとお尋ねし、そうでなければ少なくとも5年ぐらいは腹膜透析を続けたい、などと素直な気持ちをお話しになってはいかがでしょうか。
血液透析の方が病院としては、患者の状態を把握しやすいのは確かです。血圧などのデータを細かく記録して、主治医の先生に奥様の状態を把握しやすくする努力をすることをお約束されるのも一つの道かと存じます。
どうしても聞いて頂けなければ、他の病院にセカンドオピニオンを求めることも可能です。