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「高血圧」に関する検索結果
Q8
腎硬化症とはどんな病気ですか。
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- 高血圧
- 回答
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腎硬化症は腎臓が萎縮し小さく硬くなってしまう状態で、悪性腎硬化症と良性腎硬化症があります。ひどい高血圧のため短期間に腎機能が低下するものを悪性腎硬化症、高血圧が長期間続くことでだんだんと腎機能が低下していくものを良性腎硬化症と呼びます。近年、患者さんの高齢化などにより増加しており、現在では日本の透析導入原因の第3位です。加齢による影響などさまざまな要因が考えられ、研究が進められています。
腎硬化症は他の腎疾患とは異なりたんぱく尿が少ないことが特徴です。高血圧の人では血液検査でクレアチニンを測定しeGFR(推定糸球体濾過値)が60%未満の人では腎硬化症が疑われます。自覚症状はほとんどなく、高圧治療が中心になります。
腎硬化症で腎不全になった患者さんは、腎臓以外にも身体中の動脈硬化が進行していることが多く、心筋梗塞や脳卒中などの危険性が高いと考えられます。従来は高齢者の疾患でしたが、最近ではメタボリック症候群などの増加により、働き盛りの30代の患者さんも増えています。
参考:
・腎臓教室「腎硬化症」(2008年10月)
Q1
クレアチニンが急にあがりショックを受けています
- 相談者
- 保存期患者、58歳、女性
- 相談内容
- 20年前にIgA腎症と診断され、現在薬物療法と食事療法を行っています。最近急にクレアチニン値が3.2に上がり、ショックを受けています。どのような原因が考えられるでしょうか?また、これ以上悪くならないようにするにはどうすればよいでしょうか。
- 回答
-
IgA腎症は少しずつ進行する腎炎と考えられていますが、20年の間に、10人のうち4人は透析が必要になっています。その点あなたは、20年が経過しても透析が必要なレベルになっていないのは、薬物療法と食事療法の効果だと思います。
腎機能に影響を与える要因、つまり、風邪などの感染症、夏場の脱水症状、非ステロイド消炎鎮痛薬の服薬などによって、クレアチニン値が急に上がる場合もあります。また、尿タンパクが多い方、血圧が高い方は進行が早いようです。適切な食事管理(たんぱく質の制限、適切なエネルギーの摂取、塩分制限)と血圧のコントロールを引き続き行ってください。
またクレアチニンおよび尿素窒素が上昇してきたときは、尿毒素を吸着してクレアチニンの上昇を抑える活性炭の吸着薬(クレメジンなど)の服用により上昇が抑えられることがあります。また腎性貧血が考えられるときは、エリスロポエチンの皮下注射薬などもありますので、貧血を改善しておくとよいと思います。血液が酸性に傾いた場合は、重曹などでPHを調整しておいたほうがよいでしょう。主治医とよく相談してください。
Q7
かかりつけ医で腎臓機能の低下を指摘されました。腎臓内科を受診すべきでしょうか?
- 相談者
- 保存期患者、52歳、男性
- 相談内容
- 高血圧治療を受けている医院で、血液・尿検査の結果、腎臓機能が若干低下していると言われました。
検査値は、血清クレアチニン0.98、BUN14.3、TP7.2、Alb4.4、UA4.9ですが,腎臓内科等の受診は必要ないでしょうか?何年程度で進行するものでしょうか? 血圧の薬としては、ミカルディスを飲んでいます。
- 回答
- 腎機能が若干低下しているとの指摘を受けたとのことですが、血清クレアチニン(Cr)0.98、そして年齢52歳、から計算した腎機能(eGFRといいます)は eGFR:63.8ml/minです。
これは腎機能がおよそ64%であると言うことです。
腎機能が60%以上で、かつ尿所見、蛋白尿がなければ、腎臓病ではなく、特別な食事療法や薬は必要ありません。
しかし今後血清クレアチニンの上昇(eGFRが50ml/min以下)や尿の蛋白尿が出現してきたら、腎機能が低下していると考えます。貴方の場合、おそらく高血圧が原因と言うことでしょう。
腎機能は血清クレアチニン値と年齢の2つの要素から計算できます。これは専門医でなくてもできますので、尿検査と一緒に時々(年2回程度)調べてください。
腎機能の程度を考えると、腎臓内科の受診は現在のところ必要ありません。
ただし、高血圧はコントロール不十分が長期(20-30年)に渡って続くと、合併症 例えば動脈硬化、狭心症 脳梗塞などが将来発症する可能性があり、また腎硬化症という腎臓病の合併症(透析に至る)も発症する可能性があります。従って、薬の服用に加えて、食事療法(塩分制限7g以下に、また野菜と魚を多くとる、鳥豚牛、アルコールは多くとらない)、運動療法(週3日以上の40分の有酸素運動)を行って、内臓肥満防止と血圧を130/80以下にコントロールしてください。
現在服用しているミカルディスは腎保護作用がある降圧剤です。
現在の貴方の体に不安を持つ必要はありませんが、将来の合併症を防ぐには、先述した内容を日々実行する、決意と努力が必要です。かんばってください。
Q8
クレアチニン値が急にあがりはじめました。進行を抑えるためのアドバイスを。
- 相談者
- 保存期患者、66歳、男性
- 相談内容
- 40歳の時に腎生検でIgA腎症と診断され、現在、年4回検査(尿・血液)+降圧剤(毎朝) を行っています。
血清のクレアチニン値が、4か月ごとに、1.02→1.06→1.09⇒1.17と急激に上がり始め不安です。血圧は最高130代後半、最低70代半ばです。Crの上昇を抑制するためのアドバイスをお願いします。
週1回位5k程度の歩こう会で汗をかいていますが大丈夫でしょうか?
- 回答
- 確かに腎機能が進行性に低下している可能性あります。何が悪くてかかる事態が生じているのか原因を探るべきです。
特に確認が必要なことは、家庭血圧が適切な値であるかどうか、IgA腎症の疾患活動性が高いのかどうかの2点です。血圧は、ご自身で1日3回測定(繰り返し測定)し、終日、125/75以下ならとりあえず宜しいでしょう。IgA腎症の活動性については検尿/沈査所見や1日蓄尿による尿タンパク量の測定にておおむね判断できます。また、蓄尿検査では、尿タンパク量のみならず、塩分摂取量やタンパク質摂取量も明らかになるので、食事の是正点も明らかになります。以上の上で是正すべき点を改めれば良いと思います。
なお、降圧剤ですが、血管拡張薬を服用されているようですが、腎臓のろ過器(=糸球体)の内圧を減じる性質のある降圧剤に変更した方が、腎機能は長持ちすると思います。変更によって、糸球体内圧減少による腎機能低下が生ずる可能性ありますが、長い目でみれば、この方が腎機能は維持されます。主治医に相談してみてください。
運動については、身体能力や心臓の機能に支障のない限り、通常はこの程度は全く問題になりません。水分摂取を忘れず、体調に応じて無理なく行えばよいでしょう。気の合うお仲間と親しく過ごすことは、楽しいことですし、とても良いリフレッシュになると思います。
Q11
eGFRをこのまま保つために自分でできることはないでしょうか?
- 相談者
- 保存期患者、81歳、男性
- 相談内容
- 父についての相談です。血清クレアチニン値3.09、GFR6.0です。食事療法は塩分6g制限の食事を取っています。腎臓病の他に軽い認知症があり、四国の田舎に母と二人で住んでいて、近直、東京の私の近くに住みたいと希望もあり、そのようにする予定です。担当医によるとeGFR16.0の数値がネックになっているようで、あと三ヶ月後には、透析をした方がいいといいます。何か他にeGFRの数値を上げる方法はあるのでしょうか?
- 回答
- 81才という年齢から考えると腎硬化症(腎臓での動脈硬化;年齢や高血圧が原因となります)による慢性腎臓病と思います。
尿所見や貧血の程度がわかりませんが、慢性腎臓病では、特に
1)高血圧 2)蛋白尿の程度 3)貧血
が腎機能悪化(進行)の大きな要因になります。また、それに加えて(肥満、脂質異常症、高尿酸血症、糖尿病、喫煙などの)生活習慣病が悪化の要因となります。
現在、処方されている薬の内容をみると、現在の担当医の先生がこれら(上記)についてほぼ網羅しているように思います。
したがって本人にがんばって頂くことは(年齢的に無理しない程度で、また、お母様に負担がかからない程度でよいと思いますが)
1、安易に痛み止めなどを使わない
使う際には、主治医の先生にたずねてから
2、自宅での体重および血圧のチェック
3、減塩(塩分6gでよいと思います)の継続
ができれば、もうしばらくは腎機能(eGFR)の安定化がはかれるのではと思います。
近々、転居の可能性があるとのことで、現在の主治医と今後の住まいでの担当医とのバトンタッチがうまくいけばと思います。
Q16
健診で腎臓病と高血圧が見つかり、最近蛋白尿も出ました、どんどん悪くなるのでしょうか
- 相談者
- 保存期患者、51歳、男性
- 相談内容
- 健診にて血清クレアチニン上昇(2.0)と高血圧(上が150)の異常を指摘され、一年以上かけて様々な検査を行いました。幸い蛋白尿はいつも(ー)でした。その後、高血圧も正常値になり、経過観察で良いとの事になりました。腎生検は行なっておらず、正確な原疾患名は分かっていません。なお、主治医からの指導で、蛋白質(40g/日)、塩分(6g)を守っております。その後引っ越したため、新しい病院の腎臓内科で、半年に一回検査(血液と尿)を行い、腎エコーにて両腎の萎縮があり、腎硬化症との診断を受けています。一番最近の検査で、血圧正常、Cr1.89、推算GFR31.1と、初めて蛋白尿(+2)が出てきました。主治医からの指導は「適度な運動」です。経過観察でよいとの事ですが、どんどん悪くなって行く様な気がして心配です。
- 回答
- 15年間Crが2.0から1.89とほとんど変化していないことからも(つまり、腎機能は悪化していない)、治療はうまくいっていると考えられます。
15年前の段階でCr 2.0であることから、すでに腎臓がある程度障害されていた可能性があります(腎萎縮の存在)。
原因は高血圧や動脈硬化による腎硬化症が最も考えられます。
腎機能は高齢化すれば健康な人でも徐々に低下します。もともと腎臓が悪い方(CKD)ではなおさらです。したがって、今後少しずつ腎機能が悪化するのは覚悟してください。でも、血圧のコントロール・食事療法と日常生活の管理などでその悪化は少なくできます。主治医を信頼し、その指示に従って治療を継続するのが一番だと思います。
Q19
クレアチニンの値が徐々に上り、将来が不安です
- 相談者
- 保存期患者、51歳、男性
- 相談内容
- 腎臓内科に10年ほど前から通院しています。血清クレアチニン(Cr)の数値は1.2mg/dL台でしたが、半年程前から上がりはじめ、1.3、1.4、1.5mg/dL台、今回は1.68mg/dLでした。
尿タンパクは出たり出なかったりとバラバラです。尿酸値は正常になりました。
血圧も正常値です。しかし、血清クレアチニンの数値だけが上がり続けています。
尿タンパクが、+だったり-だったりして、血清クレアチニンの数値だけが上がるのが、おかしいと言われています。今も、降圧剤と尿酸値を下げる投薬を受けていますが、将来的にこのままで良いのか不安です。
- 回答
- クレアチニンは基本的には筋肉量に依存する場合がありますから、プロテインのようなサプリメントを使用している場合や、ジムで筋力トレーニングを行っていれば上昇すると思われます。
抑うつの薬を飲んでいるようならば、筋肉痛を伴うような横紋筋の障害がおこることも可能性としてはあるかもしれません・・・。
いずれにしても特効薬はありませんが、飲水量を増やして経過観察になるのではないかと思います(タンパク尿・血尿の増悪がないようならば)。
また、たんぱく制限や塩分制限などの食事療法は行っていますか? 血圧のコントロール状態はどうでしょうか?
これらは腎機能の低下による血清クレアチニン値の上昇に深く関与しますので、注意を払う必要があります。
Q27
IgA腎症で扁桃腺摘出、今後、食事療法だけでよいのでしょうか?
- 相談者
- 保存期患者、56歳、女性
- 相談内容
- クレアチニン:1.01mg/dl IgA腎症と診断され、扁桃腺の摘出手術もしました。一年前ステロイド治療を行い半月程入院しました。プレドニンが終わり、これからは4ヶ月に一度検査のみといわれたが、そのほかの説明がありませんでした。いつも気になっているのですが、なかなか聞くことが出来ません。
腎臓病の薬というのがあるのでしょうか。血圧も微妙な高さ(血圧手帳の緑の帯のところの上と下をいったりきたりしております)。
食事療法のみなのでしょうか。食事はとりあえず減塩・たんぱく質制限を出来るだけ行っております。たまに気を抜きますが、このままでよろしいのでしょうか。
- 回答
- 現在我が国でもっともよく行われているIgA腎症の治療は扁桃摘出+ステロイド治療です。
おそらくそれを実施されたと思います。扁桃を摘出した後にステロイド(代表薬がプレドニンです)を服用していただくのですが、概ね治療は1、2年で終了します。
IgA腎症をはじめとする慢性腎炎の多くは治療をせずに放置すると腎機能が低下してきます。血清クレアチニン値で2~3を過ぎるともうどのような治療にも反応せず、透析が必要になる末期腎不全にどんどん近づいていくようになります。せいぜいクレアチニンが1.5までに治療を開始したいものです。
この治療を実施した80%の患者さんが治ったと言ってもいいような状態になりました。よってプレドニンを終了され、蛋白尿が減っている状況では今後もとてもいい経過であることが想像できます。
血圧が高い事はやや気になります。IgA腎症の方で悪くなりやすい方の多くは高血圧を有しておられた方です。ですからお宅でも血圧を測定し、可能なら130/80未満まで下げたいところです。
また食事療法ですが、現時点での腎機能ではそれほど厳格なタンパク制限は必要ありません。減塩は基本ですが、今の腎機能(クレアチニン値が1.01)であれば過度のタンパク制限は栄養状態を悪化させます。栄養士さんや医師にも相談したほうがよろしいかと思います。
Q2
なぜ、塩分のコントロールが必要なのですか。
- 回答
- 体液量(体内の水分量)が多いと血液量が多くなり、それらをろ過する腎臓に負担をかけます。また、血圧も上昇してさらに腎障害が進みやすくなります。そのため、体液量のコントロールはとても重要なのです。塩分を多く摂取すると、血液の浸透圧があがります。浸透圧をさげるため、体は水分を体の中に貯めようとします。さらに、のどが渇いて水分が欲しくなります。そうすると塩分と一緒に水分が体の中に貯まってしまい、体液量が増えます。腎臓が健康な人であれば、尿をだすことで、体内の水分量や塩分量のコントロールが可能ですが、腎臓に障害がある場合には、塩分の摂りすぎは体液量の増加につながり、むくみや高血圧が生じてきます。そのため、腎臓病の治療では一般的に、食事による塩分の摂取量を制限する必要があります。1週間薄味を続けることで食塩に対する感受性が改善します。また、3~4週間継続できると薄味に慣れますが、油断すると簡単に戻ってしまいますので注意が必要です。香辛料や酸味・辛味などで味の豊かさを工夫し、塩味をカバーして美味しい料理を作ることが大切です。
Q11
減塩のために「コチジャン」はどうでしょうか?
- 相談者
- 保存期患者、49歳、男性
- 相談内容
- 降圧治療と食事制限をしています。コチジャンという調味料は結構いいと思うのですが、どうでしょうか。
- 回答
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減塩が必要になった方の1日の食塩量は6g未満で、1食2gを目標とします。減塩のポイントは醤油などの調味料を控え、薄味を心がけることです。同時にたらこや干物などの塩蔵品を控えたり、かまぼこやハムなどの加工食品の利用頻度を減らします。また麺類の汁を残したり、汁物や漬物を控えることも重要です。
減塩を行うなかで救世主になるのが、酸味(レモン、すだち、お酢など)、香味野菜の香り(柚子、しそ、ハーブなど)、香辛料(唐辛子、コショウ、カレー粉など)です。コチジャンは韓国の辛子味噌で、いろいろな料理に活用できる香辛料ですが、塩分があるので使いすぎないようにしましょう。
ちなみに、小さじ1杯(5ml)に含まれる食塩量(g)は、醤油0.9、減塩醤油0.5、コチジャン0.4、オイスターソース0.6、豆板醤0.8、XO醤0.4、ナンプラー1.3、柚子こしょう1.1、粒マスタード0.2となっています。ただし、食塩量はメーカーによって若干異なりますので、あくまでも目安にしてください。
Q17
自己流の食事制限を続けています。やめた方が良いでしょうか?
- 相談者
- 保存期患者、82歳、女性
- 相談内容
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腎硬化症と診断されました。定期的に検査をしていますが、血液検査の数値が悪く、透析に発展するのではと心配しています。現在、血清クレアチニンは1.8前後です。
主治医の診断は、透析にはならない、食事制限もしないでよいという診断です。
食事制限は必要なく透析の恐れはないのでしょうか?自己流の食生活を続けていますがやめたほうがよいでしょうか?(一日蛋白質30g以内という食事をしている)
- 回答
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女性、年令、Cr値より現在の推定糸球体ろ過量を求めると、約21min/ml/1.73㎡となります。約1/3程度の腎機能障害です。会社に例えるなら、定員100名の社員が約30名に減少している状態を想像してみてください。その会社はどうなると思いますか?会社にやってくる仕事量が変わらないとすれば、社員の数が1/3ですから、一人あたりの負担量は3倍に増加しますね。そんな過剰状態が長く続くと、社員は過労で病気に倒れるか、他社に転職するでしょう。ますます、社員は減少し、遂には会社が存続できないほどになりますね。
一般に腎機能が1/3以下に低下すると、このような理屈で進行性に腎機能障害が進みます。今のあなたの腎機能は、丁度、そのギリギリの付近といえます。将来的に透析に絶対進まないとは言えないところでしょう。例えば、何か大きな病気を合併すると、痛んだ腎臓には大きな負担となって機能低下が生ずるかもしれません。
今できることで大切なことは二つあります。一つは血圧を厳しくコントロールすることです。家庭血圧が良い値になっているかどうか、1日3回測定して確認しておくことです(もちろん主治医の先生にお伝えすること)。会社の例えで言えば、作業環境を良好に維持することに該当します。残存腎機能への影響が一番大きいと思います。
第二には、社員の仕事量を減らすことです。腎臓の仕事は多々ありますが、タンパク質の壊れたもの(=尿毒素)を体外に排泄することが主な仕事です。ですから、適切にタンパク制限を行えば、社員の過剰負担を軽減できます。低タンパク食療法は有効です。ただし、注意が必要です。タンパク質を制限することに気を取られて、カロリー摂取量が減ってはいけません。十分量のカロリー確保はとても大切です。どの程度のタンパク制限を行うべきかは、個人差が大きく、食事習慣や、合併症、腎不全の原因疾患や、その方の活動量など、総合的に判断する必要があります。今のあなたに適切な栄養処方箋がどのくらいなのか具体的にご返事することは控えたいと思います。主治医の先生にご相談してみてください。血圧と食事療法を上手に管理できれば、透析へのリスクは随分と減るかもしれません。ただし、低タンパク食療法は高度に専門的な治療であり、もし、主治医の先生があまり詳しくないのであれば、良い先生をご紹介いただいてはいかがでしょうか。
Q31
血圧のコントロールについておしえてください
- 相談者
- 血液透析、50歳、男性
- 相談内容
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透析歴(腹膜透析3年4か月、血液透析1年3か月)の患者です。血圧が、朝で220/110と高めです。血圧をコントロールするために、様々な薬剤を服用してきましたが、どれも強烈な全身倦怠や爪の異常など、激しい副作用が発現し、服用する薬がありません。
ホルモン系の検査も異常がなかったのですが現在高いまま放置状態です。
高血圧に対しての対処方法、治療法について教えてください。
- 回答
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これは難問です。主治医の先生もご苦労なさっておられるものと推察いたします。
一般的に透析歴が長くなるとともに高血圧が管理しやすくなることが多いので、質問者のように比較的最近になって血圧管理が困難になってきた経緯は、やや異例ではないかと思われます。ホルモン的な検査もなさった由ですが、今一度二次性高血圧の存在を検討される余地があるのではないかと考えます。例えば腎血管性高血圧という状態は、通常では血清レニンという物質が高値になるのですが、経過が長い場合とか両側の腎動脈狭窄がある場合には、レニンが正常値の場合があることが知られています。
もしHD開始後(高血圧が難治になってから)実施しておられなければ、造影X線CTで腎動脈とか副腎方面を撮影して見ると、ひょっとしたら何か有用な情報が得られるかもしれません。ただし質問者にはいろいろ薬剤アレルギーがおありのご様子なので、もし造影剤にアレルギーがあれば上記検査は無理ですが。
また質問者が腎不全になった原疾患は、わかっているのでしょうか。腎動脈の異常とは無関係でしょうか。
数々の薬剤アレルギーにより、現在主力になっている多くの降圧薬がご使用になれないことも、もちろん血圧管理が難しい原因にちがいありません。カタプレスでアレルギーが出ないのであれば、これを少しずつ増量する選択があるかもしれません。カタプレスは腎排泄性の薬剤で、薬剤は透析により除去されないのですが、日本腎臓学会の最新の「CKD診療ガイド2012」によれば、透析者では腎機能正常者と同量を慎重投与、とされています。極量は一日900μg(75μg錠で12錠)となっています。
これまでアレルギーが生じなかった他の降圧薬は検討の余地があります。古いのですが、昔はアプレソリンなども透析者に使用していました。
なお一般的に、血液透析のドライウェイトを適正にする、食塩摂取量の制限、可能な範囲での運動、(肥満であれば)減量、(喫煙者ならば)禁煙が、血圧管理に有利となります。