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「腹膜透析」に関する検索結果
Q1
導入が遅くなると死期を早めるのでしょうか?
- 相談者
- 保存期患者、82歳、男性
- 相談内容
- クレアチニンの値がここ半年で急にあがり、主治医からは1〜2年のうちに透析に入ってもおかしくないと診断されています。現在は通常の生活が続けられていますし、今後も努力を続けてできるだけ透析を避け、普通の生活ができないようになったら導入したいと考えていますが、導入が遅くなると死期を早めてしまうのでしょうか。どんな時に決断すべきか教えてください。
- 回答
-
現在の数値から、あなたは慢性腎臓病のステージ5まで進行していますね。ステージ5とは透析直前か透析を導入している方を意味します。あなたの推定糸球体ろ過値(尿をつくる働き)は6.52ml/分で、通常8.0ml/分以下は透析開始を推奨する値とされています。
そのほかに以前から用いられている透析開始基準があります。それは検査結果、臨床症状、日常生活障害度を点数で表わし、合計が60点以上であれば透析開始をすすめるというものです。たとえば、クレアチニン値が5.0より大きい場合は20点、年齢が60より上だと10点、臨床症状が1つ加わるにつれてプラス10点、というふうに加算されていくのです。
いずれにしろ、あなたの数値からは、透析の準備に入っておく必要があると判断します。血液透析を選択するなら、シャントを、腹膜透析(CAPDやAPD)を選択するなら、スマップ法でカテーテル挿入を早目にしておけば、スムーズに透析に入ることができます。また、ステージ5になると急激に増悪する場合もあるので、2週間に一度は外来受診して、定期的に検査を受けることをおすすめします。
日本腎臓学会および透析医学会が作成した小冊子(DVD付き)や当協会作成の冊子「腎不全とその治療法」などを参考にして早目の準備をお勧めします。
Q3
シャントも作りましたが、透析開始を1日でものばしたいのですが。
- 相談者
- 保存期患者、73歳、女性
- 相談内容
- 15年程前から腎臓病と言われていましたが、3ヶ月前に主治医からそろそろ透析の準備をするようにいわれてシャントをつくりました。しかし、通院も大変ですし、できるだけ透析をしないで1日でもこのままでいたいと思っています。1日でものばしたら良いですよという人と、早めに透析をはじめた方が良い人もいます。実際はどうなのでしょうか?
- 回答
-
あなたの数値から、あなたの腎臓は本来の10%程度しか働くことができないという状態です。その10%が猛烈に頑張っているわけですが、今後もクレアチニン値はどんどん上がり、ある日突然倒れて、緊急透析ということも考えられます。
透析導入を先延ばしにしたり、突然倒れて病院で腎不全と診断され緊急透析となる方が透析導入の方の25%もいます。こういう方は、適切な時期に導入した方に比べて、予後が悪いのが実情です。主治医の指示に従い、適切な時期に導入されることをおすすめします。
なお、週3回の通院が大変でしたら、自宅で行う腹膜透析や在宅血液透析といった方法もありますので、主治医に相談されてはいかがでしょうか。
Q4
多発性嚢胞腎ですが、腹膜透析はできないのでしょうか?
- 相談者
- 保存期、51歳、男性(相談者:患者家族)
- 相談内容
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主人(51歳)が、多発性嚢胞腎で経過観察中です。高血圧もあり痛風も治療中です。
血清クレアチニン値が7.0となり、透析について考えるように言われています。
腹膜透析を検討していますが、多発性嚢胞腎の場合、できないのでしょうか?
- 回答
-
多発性嚢胞腎の患者さんに腹膜透析は大丈夫か?という質問ですね。
答えは「大丈夫です」。
多発性嚢胞腎は遺伝性の疾患で、加齢に伴い腎臓と肝臓が腫大し機能が低下します。ただし、尿量は末期まで保てるのが普通です。
したがって、腹膜透析は安定して行えるのですが、大きな腎臓と肝臓のために腹膜透析を行った後に膨満感を若干訴える患者さんもいます。しかし膨満感はすぐになれて気にならなくなります。問題なく継続できる場合がほとんどです。
さらに尿量が末期まで保てる事から、腹膜透析を長期にわたって継続できる場合が多く、むしろ腹膜透析に向いている疾患と言えます。私も5名以上の多発性嚢胞腎患者さんで腹膜透析を行っていますが、全員何の問題もなく継続できています。多くの先生は腹膜透析の経験がないために、慎重に対応する先生が多いようです。
患者さんのお近くに、腹膜透析を広く行っている先生がいるのであれば、一度診察を受けてみることをおすすめします。血液透析だけをやっている先生では、腹膜透析を行う事は難しいかもしれません。
多発性嚢胞腎での腹膜透析はまず問題なく行えます。カテーテルの挿入等も、なれている施設であれば問題ありません。心配せず、専門の先生に一度きちんと相談してみることです。
Q5
血液透析の準備のためにシャントをつくりましたが、太くなりません。
- 相談者
- 保存期患者、64歳、女性
- 相談内容
- 糖尿病があり、血清クレアチニン値が7近くなりました。そろそろ透析の準備をと言われ、右手に内シャントを造りました。しかし、血管が太くならず、3か月後に左手に内シャントを造りました。それから2ヶ月経ちますが、まだ太くなりません。ボールを握る運動はしています。何か良い方法はないでしょうか?八方ふさがりです。どんな小さなことでも良いので教えてください。
- 回答
-
データならびに経過を拝見しました。データ的にはそろそろ透析を考える必要がありますね。
糖尿病の方ですと、動脈が細く血流が悪い場合など、シャントの発育が悪い方も多いようです。
シャント血流は血圧と体液量に依存しますので、あまり血圧を下げすぎない、また脱水などは注意が必要です。若干水分を摂られた方が、シャントは良好になります。以下の点にも注意しましょう。
・シャントを発育させるために、ボール握りなどは繰り返すこと。
・シャント側の手に負担を掛けないこと、荷物をもったり、腕時計などもさけましょう。
・寝る時は体の下にならないような注意が必要です。
また、血流をよくするような抗血小板薬なども効果は期待できます。
いろいろやっても穿刺が困難な場合には、無理をせずに作り直す事も考えましょう。
長期に使うシャントです。早めに良いシャントに作り直すのも必要かもしれません。
主治医の先生と良く相談しましょう。
どうしてもシャントができない場合、人工血管を使う手もあります。
別な方法として腹膜透析を考えてもよいかもしれません。
PDファーストと言って、まず腹膜透析を行う方法も広く認められています。
血糖管理がよいのであれば、糖尿病の方でもまったく問題なく行うことができます。
いろいろな方法があります。心配することはありません。
主治医の先生と良く相談されて、最適な方法を選択してください。
Q6
食欲もあり体調もふつうですが、心臓が心配と透析をすすめられています
- 相談者
- 保存期患者、78歳、男性
- 相談内容
- 5年前から、薬物療法と食事療法を行っています。現在の検査値は、血清クレアチニン7.3、BUN73、ヘモグロビン6.3です。今入院していて透析の準備の手術をしました。食欲もあり体調はふつうです。心臓が心配なので透析をすすめられているのですが迷っています。
- 回答
-
相談内容拝見しました。クレアチニン、BUNの値に比べて貧血が強いですね。
貧血は、心臓病の発症や腎障害の進展の重要な危険因子です。
腎不全に合併した貧血の治療はエリスロポエチンの使用、鉄剤の使用、その他の貧血の原因があればその治療を行い、Hb10g/dL以上を保つようにするのが一般的な治療です。
もし、これらの治療を行っても貧血が改善しないようであれば、腎不全が影響している可能性が高いので、透析導入を行うことになります。
そのような理由から、透析導入の時期と判断されたのだと思います。
透析方法には血液透析と腹膜透析の二つがあります。その他に腎臓移植もありますが、腎臓を提供してくれる方がいなければ、透析を選ぶ事になります。
血液透析と比較して腹膜透析は緩徐な透析方法です。また持続的に透析を行うために、身体に優しい透析方法と言えます。そのために、自分の腎臓が長く維持されます(透析導入後も自分の腎臓が生かせます)。また、心臓にも優しい透析であり、狭心症、高血圧などの心臓病が心配な患者さんに適した透析方法です。あと。自分で行う透析方法(自己管理が必要です)なので、QOL(生活の質)が良好なのも特徴です。
最近の考え方では、自分の腎臓を生かす為に、まず腹膜透析を行い、自分の尿が出なくなった時期に血液透析に移行するPDファーストの考え方も広まっています。もし、心臓病に不安があるようであれば、腹膜透析を選択するのも一つの方法です。
腹膜透析は満足度の高い透析方法です。ただし、それぞれの透析方法には特徴があり、適した患者さん、適さない患者さんがある事も事実なので、ご質問された方が腹膜透析に適しているのかは、この相談内容だけでは十分わかりません。もし興味があれば、主治医の先生に腹膜透析についても聞いてみてはいかがでしょうか。
Q8
おなかの中(腹膜腔といいます)に透析液を入れると、どんな感じがしますか。
- 回答
- 成人の場合、通常2リットルの透析液を入れます。CAPDを始めたばかりの頃は少しお腹が重たいような感じやお腹が張るような感じがある患者さんもいらっしゃいますが、すぐに慣れる場合が多いようです。
>>腹膜透析(PD)について、より詳しい情報はこちら
Q12
腹膜透析の実情を知りたい
- 相談者
- 保存期患者、58歳、男性
- 相談内容
- 主治医から腹膜透析をすすめられていますが、腹膜透析をされている方の実情を知りたい。日常不便なことはないのでしょうか。
- 回答
-
主治医から腹膜透析をすすめられたということは、あなたは衛生面の管理や器械の操作ができると判断されたうえでのことだと思います。また、残存腎機能の保持や生活面などから、あなたにとってメリットがあると思われてすすめられたのではないでしょうか。
しかし、血液透析と腹膜透析、どちらも一長一短あります。それぞれの治療法の小冊子やビデオを見たり、主治医や看護師に、腹膜透析をしている方を紹介してもらい、実際にお話を聞いてみてはいかがでしょうか。また、日常生活の中で、不便を感じそうな点・不安な点は看護師に相談してみてください。
腹膜透析といっても、1日に3〜4回バッグ交換をするCAPDと、夜寝ている間に行うAPDとがあります。CAPDをしている方のなかには、透析液の交換について「1日3回の食事に4回の食事が増えたと考え、日常生活の一部にしています」と明るく話してくださる方もいますが、日常生活の中で昼間の透析液の交換が不便なのでAPDを選んだという方もいます。夜中の小さな器械音が気になるという方には向かないでしょう。
血液透析も含め、どの治療法が自分に合っているか、しっかり見極めて導入なさってください。
Q13
腹膜透析はどのぐらい継続できるのでしょうか?
- 相談者
- PD患者の家族、50歳、男性
- 相談内容
- 主治医のすすめで高校生の息子はCAPDを導入しましたが、別の医師から腹膜透析は腹膜機能が低下するため1年半程度しかもたない、そのあとは血液透析になるといわれショックを受けました。実際にCAPDはどれくらい継続できるのでしょうか。
- 回答
- CAPDと相性が悪い、または面倒といった理由で早々に血液透析に移行する方はいますが、医学的にCAPDが1年半しかもたないというのは聞いたことがありません。CAPDは目安として、残在腎機能があるかぎり、すなわち尿が出る限りは継続できます。平均すると5〜8年の継続が可能です。また血液透析を併用する方法もあり、さらに長期に行うことも可能です。患者さんによっては20年以上継続している方もいますが、無理な継続は腹膜硬化症などの合併症を引き起こすこともあります。いずれにしろ、主治医とよく相談しながら、無理なく良好な生活を送ることが重要です。
Q14
腹膜透析から血液透析への切りかえについて
- 相談者
- PD患者、74歳、男性
- 相談内容
- 腹膜透析を始めて5年目に入りますが、主治医から血液透析に切り替えるようにいわれています。今まで経過は良好でまだ腹膜透析を続けたいのですが、血液透析に切り替えたほうがよいのでしょうか。
- 回答
-
一般的に残存腎機能が低下してくると、透析不足になることがあるため、腹膜透析から血液透析への移行を考える時期といわれています。しかし、あなたのデータをみる限り、尿量(1日300ml)は腎機能の低下によるものと思いますが、とくに透析不足を示すデータはありません。また、腹膜透析の継続年数(5~8年)も血液透析への移行時期の目安となりますが、貧血や浮腫、血圧の上昇、尿毒症の症状がなければ5年目に入るところということですので、CAPDの継続は可能と思われます。
もう一つ重要なことは、腹膜の状態です。腹膜の状態はPET(腹膜平衡試験)という検査で判断します。もしPETをやっていなければ、きちんとやってもらうように主治医に相談する必要があります。腹膜の劣化があり、透析不足の状態であるならば、治療法の変更を考えるべきでしょう。
大切なことは、主治医にCAPDを中止しなければならない理由を確認することです。腹膜透析と血液透析の併用療法という選択肢もあります。まずは理由を確認してみましょう。
Q15
APDを導入しても旅行できるのでしょうか?
- 相談者
- 保存期患者、48歳、男性
- 相談内容
- 透析導入をすすめられていますが、定年までは夜間の腹膜透析APDを希望しています。APD導入後、旅行することはできるのでしょうか。
- 回答
-
多くの腹膜透析患者さんが旅行や出張に出かけています。旅先に透析液や透析に必要なものを持参するか、前もって送っておき、現地で治療を行います。透析液の交換は、ホテルや旅館、駅・空港・パーキングエリア・遊園地などの救護室を借りても行えますので、事前に交換場所を調べておくと安心です。APDの場合には、車での旅行であれば、自宅の機械をもっていくことも可能ですし、場所によっては、事前に主治医を通じて旅行用の機械を借りる(有料)ことも出来るようです。また、旅行の間だけ、APDからCAPDに変更する方もいらっしゃいます。
旅先では、いつもと違う環境でのバッグ交換になりますので、腹膜炎にならないように、清潔にはくれぐらも気をつけて、旅行を楽しんでください。
Q18
手指のこわばり、肩の違和感、足のひざの立ち上がりもギクシャク。
- 相談者
- 腹膜透析、56歳、男性
- 相談内容
- 腹膜透析を始めて、8ヶ月になります。出口部の傷の治りに時間がかかりましたが、腹膜透析は、特に問題なくきています。2ヶ月前から朝両手指がこわばり、肩の上下に痛みが現れ、現在、肩肘手指に痛みがあります、手指のこわばりは昼寝後にもあります。リウマチではと思い血液検査を2度受けましたが異常ないとのことです。手指のこわばりと肩の違和感、足のひざの立ち上がりもギクシャクしてきました。整形外科的な検査が必要でしょうか、また、当地は僻地で整形外科がなく、整骨院でも良いでしょうか、よろしくお願いします
- 回答
-
「両手指のこわばり」のような症状(レイノー症状と呼ばれます)を呈する理由のうち代表的なものは関節リウマチのような膠原病なのですが、抗核抗体・抗CCP抗体とも陰性であることからやや考えにくい印象です。ただしレイノー症状は、動脈硬化の進行、β遮断薬(テノーミン・メインテート・アーチストなど)の使用、神経疾患など、膠原病以外にも多くの理由で起こり得ます。
腎不全の方では動脈一般のダメージが強いことが知られておりますので、まずはビタミンE製剤(ユベラニコチネートなど)を内服してみる事や、動脈硬化の程度を調べる検査を行ってみる事などを、主治医の先生とご相談してみてはいかがでしょうか。
肩の上下の痛み、肘・手指の痛み、膝の立ち上がりのギクシャク感のような多発関節痛を呈する理由としては、やはり関節リウマチなどの膠原病を疑うことができます。しかし関節痛の原因が膠原病である場合には、ふつう関節は赤い腫れを伴い、CRPなどの炎症反応も陽性となります(関節リウマチならば抗CCP抗体も陽性となります)。また感染性関節炎(淋菌など)および代謝性関節炎(痛風・偽痛風)の場合にも、関節の赤い腫れと炎症反応亢進を伴います。もしあなたの多発関節痛が関節の赤い腫れを伴わないのであれば、これらの疾患はやや考えにくい印象です。
腎不全の方に起こりやすい病態として、関節における「異所性石灰化」があります。これは、骨を構成するリン酸カルシウムという物質が、関節などの骨ではない所に沈着してしまう病変です。この異所性石灰化は血清リンの値が高い方に起こりやすい事が知られていますので、あなたの血清リンの値が高い(6.0 mg/dL以上)場合には是正の必要があります。
また、関節痛の原因を明らかにするためには、やはり一度は整形外科ないしリウマチ内科の医師の診察を受けることが望ましいと思います。
Q19
副甲状腺を取る手術をと言われたが、心配です。
- 相談者
- 血液透析、55歳、男性
- 相談内容
-
のう胞腎で、透析を始めて10年です。
最近、担当医から、副甲状腺をとる手術をするようにいわれました。
心配なのは、とった事によるマイナス面です。
医師からは、取る事でのプラス面のお話が大半で、手術後、カルシウムの吸収が良くなりすぎるようになるため、その調整が必要なのと、声が一週間位でにくくなる位で、特に心配する事はないといわれます。
でも、副甲状腺は必要だから身体にあるわけなので、全部とってしまったら、絶対マイナス面があるはずだと、心配しています。もちろん、手術自体もどれくらいの危険がともなうのかも心配です。
- 回答
-
副甲状腺は腎機能の正常な人では問題はおこらないのですが,腎不全の進行とともに大きくなり機能亢進もおこります。PTHという値が上昇します。さらに透析期間が10年を超えるようになりますといくつかの薬(ビタミンD,炭酸カルシウム,セベラマー塩酸塩)にも反応しない患者さんもでてきます。
最近、シナカルセト塩酸塩(レグパラ)という薬がでてきて効果的になりましたが,胃部不快といった消化器症状がでる人では使用できなかったり,シナカルセト塩酸塩をつかってもPTHが下がらない人に対して副甲状腺の切除術を行います。手術せずに放置しますとどうなるかですが,2000年以前は積極的に手術をしないこともありました。そのような人は骨が変形したり,アキレス腱が切れたりして大変な思いをされたようです。2000年以降は全国的に手術がひろまり,そのような合併症がなくなったように思えます。
これは一般的な治療法です。とらずに放置することのマイナス面の方が多いと判断した時手術の治療選択を行います。手術は4つある副甲状腺の一部を前腕に植え付けることで副甲状腺の機能を温存します。手術の合併症ですが,危険性は0ではありませんが,相当数の手術の経験のある施設では低いようです。
受け持ちの医師の話に納得されたら治療はおまかせしてもよいと思います。
Q23
透析をしていますが、子どもへの遺伝が心配です。
- 相談者
- 腹膜透析、46歳、男性
- 相談内容
- 腹膜透析を行っています。15歳の娘と10歳の息子がおり、学校で毎年行われている尿検査では今のところ再検査となったことはありませんが、病院で詳しい検査をした方がよろしいでしょうか。した方が良いのであれば検査の内容はどういったものでしょうか。
- 回答
-
子どもさんへ遺伝するかどうかは透析となった腎臓病の原因で大きく異なります。遺伝性の腎疾患で頻度が高く有名な疾患として、多発性嚢胞腎(PCK)が良く知られています。これは年齢とともに進行し、多くは成人以後に透析になります。常染色体優勢遺伝で男性、女性いずれにも発症します。他にアルポート症候群、遺伝性腎炎とも呼ばれていて男性に現れやすい腎疾患で、病気の進行も男児のほうが女児よりも早いことがわかっています。原因はまだはっきりとわかっていませんが、常染色体のⅣ型コラーゲンの異常であると考えられています。
症状については、幼児期から小学校低学年の間に血尿が出はじめて、年齢とともにたんぱく尿がみられるようになります。やがて症状が悪化して腎機能が低下し、20~30歳までに腎不全に陥ります。難聴の合併率が高いのも特徴です。白内障を伴うこともあります。これらの疾患は、多くの場合親族に腎臓病の方が何人かおり、疾患名もわかっている場合がほとんどです。他にFabry病、これはαガラクトシダーゼAの欠損が原因で、X染色体の異常で発症します。男性に強く症状がでますが、女性にも発症します。これらの疾患が疑われる場合には、早い時期から血圧管理、食事の指導が重要であり、早期に発見する必要があります。またFabry病のように原因がわかっている疾患では、酵素補充などで進展が抑制できる場合もあります。
原発性糸球体腎炎などの慢性腎炎の多くは、遺伝性は知られていません。一方糖尿病、SLE、RAなどの疾患に伴う二次性の慢性腎臓病では、その原疾患が遺伝する場合もあるため、早い時期に明らかにして、きちんと治療をする事が重要となります。 まずはご本人の原因疾患を明らかにすること、その疾患の遺伝性を主治医の先生に確認すること、そして遺伝的な要素がある場合には、一度お子さんをきちんと検査する事は重要です。腎疾患では、早期発見、早期治療によってその進行が抑制できる場合が多いためです。その検査は原因疾患によって大きく異なります。
一般的には蛋白尿の有無、腎機能の確認、高血圧、心臓疾患などの合併症の確認、さらにCT、超音波などの画像検査です。糖尿病や膠原病が疑われる場合には、それらの検査も必要です。
いずれにせよ進展具合、検査方法などは、その原因疾患によって異なるため、きちんと主治医の先生に相談される事をおすすめします。
Q25
そけいヘルニアの診断を受けましたが、このまま腹膜透析を継続できませんか
- 相談者
- 腹膜透析、56歳、男性
- 相談内容
-
現在、腹膜透析を始めて1年3ヶ月になります。Cr 8,BUN 42です。
左そけい部が腫れて、診察を受けたところ、そけいヘルニアとの診断を受けましたが、CT画像から中身は水のようだ、とのことです。手術をするには、腹膜透析を中止、血液透析導入といわれましたが、手術はできないのでしょうか。腹膜透析を続けるなら、ヘルニアバンドで抑えてはとのことですが、大丈夫でしょうか。
- 回答
-
腹膜透析をしている時に、そけいヘルニアは時々遭遇します。
ヘルニアの程度にもよりますが、腹膜透析を継続するためには
1. 腹膜透析のメニューを変更する
(まだ十分に尿量があるようであれば)
通常の腹膜透析から自動腹膜かん流装置(サイクラ―)を用いて
夜間のAPDにして腹圧がかからないようにする方法
2. そけいヘルニアの手術を行う
この間は、腹膜透析を一時的に中止にして、血液透析を行います。
ヘルニアの手術後、一定期間(1-2週間)おいたあとで腹膜透析を再開します。
腹膜透析を継続するのであれば、現在の主治医の先生、外科の先生などと相談し、 メリットやデメリットを再度お聞きした上で、あなたに適した方法を選択してください。
Q29
PD5年目で腫瘍が見つかりました、腹腔鏡手術は可能でしょうか
- 相談者
- 腹膜透析、70歳、女性(相談者:患者家族)
- 相談内容
-
・母は腹膜透析を始めてもうすぐ5年です。尿毒症はないのですが、足の浮腫が最近みられるようになりました。PET検査では悪くはなかったのですがそろそろ血液透析に移行しなければいけないのでは、と主治医の先生からも言われているところです。
・そのような状態の中、先日CT検査で2センチの腫瘍が見つかりました。まだ悪性と断定はされていませんがMRI検査をしましょうとのことです。
・本人は手術を拒否したいと申しております。家族としては、手術をして頑張ってほしいと思っているのですが、今まで何度も手術を繰り返してきているので気持ちもわからなくもないのです。
・腹膜透析の患者は腹腔鏡手術は可能なのでしょうか、またミニマム創内視鏡下手術というものをネットで調べたところ腹膜を傷つけずにすることが可能であると。その他に切らずに治す粒子線治療、分子標的治療、インターフェロン治療等調べましたが、どの治療が腹膜透析をしているものに可能な治療かどうか、(近日中に血液透析に変わり癌の治療をすることも考えています)また有効なものかどうかを教えていただきたく思います。
- 回答
-
問題は2つありますね:
1)腹膜透析から血液透析への移行時期
腹膜は5年以上の腹膜透析で傷んで機能が低下しますから、適正な時期に腹膜透析を止めて血液透析へ移行するか、腹膜透析と血液透析を併用するかを選択する必要が出てきます。この点は主治医とよく相談されることを希望します。
2)次はご質問の腫瘍のことです。
追加の検査(MRIなど)で良性か悪性かがはっきりしたでしょうか。現在は腎移植術も腹腔鏡下で行われます。腎腫瘍も極端に大きくはなさそうですから、腹腔鏡下摘出が可能であろうと考えます。
Q40
腹膜透析はうまくできているが、全身のかゆみがひどいです
- 相談者
- 腹膜透析、82歳、男性
- 相談内容
-
CAPD Cr10 です。一日に2回腹膜透析を行っています。腹膜透析はうまくできているのですが、体全身のかゆみがひどく、夜も眠れない状態です。
かゆみ止めの服薬をしていますが、一向に収まりません。みなさんは、どのようにされていますか?
- 回答
-
透析を行っている患者さんの痒みは、辛い症状の一つです。
痒みの原因は、必ずしも完全に解明されていないのですが、下記の点で検討されてはいかがでしょうか。
・1日2回の腹膜透析であれば、尿はある程度出ているかと思いますが、尿量は始めの頃からすると、減っていませんか?
そうとすれば、体の毒素が十分に排泄されていない可能性もあります。体の毒素は透析と尿の両方で排泄されますが、1日2回の腹膜透析から排泄される毒素の量を考えると、約半分は尿から出ている可能性が有ります。よって、その尿量が減った時には、十分な毒素が排泄されず、体に蓄積して、かゆみの原因となります。その場合には、腹膜透析の回数を3回に増やしたり、1回の透析液量を増やしたりして、透析による毒素排泄量を増やすようにします。また、夏の間は汗で尿量が減ったりしていることもありますので、もう少し飲水量を増やしても良いか、主治医の先生に相談されてもいいかと思います。
・カルシウムやリンの値はいかがでしょうか。カルシウムやリンのバランスが崩れても、かゆみが生じます。
また、副甲状腺ホルモンが過剰となっても、かゆみの原因となります。その場合には、上記の透析量の検討の他、薬剤で調節することとなります。
主治医の先生に、これら値はどうなっているか、確認されては、いかがでしょうか。
・年齢と共に、皮膚の水分が少なくなります。また、秋から冬となると湿度が下がり、一層皮膚の乾燥が増し、これがかゆみの原因ともなります。
保湿できるようなクリームやオイルを十分に皮膚にすり込むこことで、乾燥からくるかゆみは軽減されます。
Q41
腹膜透析2年、そろそろ血液透析をといわれ、ショックを受けています
- 相談者
- 腹膜透析、63歳、女性(相談者:患者家族)
- 相談内容
-
高血圧症からの腎不全で妻は、当初3ヶ月はAPD,その後は、CAPDに移行し、現在自宅にて治療中2年目です。
CAPDは1日4回行っていますが、今年の5月から除水量を増やすため夜の1回は長時間貯留で除水効果があるという透析液にに変更されました。
1日の平均差引除水量は600~1000mlです。足のむくみも引いて楽になったようです。月1回の検査時に、担当医からそろそろ血液透析への移行を言われてショックを受けています。車での旅行が好きでツインパックの利便性にも慣れてきています。腹膜の状況で3年~5年と聞かされていました。もう少し現在の治療を続けたいのですが、最近、痰がからむような咳き込みが多いのですが関連がありますか。
- 回答
-
まず、主治医の先生に血液透析への移行の理由をお尋ねになりましたでしょうか?
ご本人の感じている体調とは別に先生は何かお気づきのことがあり、血液透析をすすめられているのかもしれません。
きちんとお尋ねし、そうでなければ少なくとも5年ぐらいは腹膜透析を続けたい、などと素直な気持ちをお話しになってはいかがでしょうか。
血液透析の方が病院としては、患者の状態を把握しやすいのは確かです。血圧などのデータを細かく記録して、主治医の先生に奥様の状態を把握しやすくする努力をすることをお約束されるのも一つの道かと存じます。
どうしても聞いて頂けなければ、他の病院にセカンドオピニオンを求めることも可能です。