専門的な検査

尿たんぱく定性検査 尿潜血定性検査

一般的な検査で腎臓病が疑われた場合は、より専門的な検査で腎臓の状態をさらに詳しく調べます。

腎超音波検査(エコー)CT検査 腎生検

腎臓の組織を直接採取して調べる検査です。
ベッドサイドで行う方法では、局所麻酔(痛み止めの注射)をした上で、超音波検査で腎臓の位置を確認しながら、背中(腰のあたり)から針を刺して腎臓組織の一部を採取します。採取した組織を顕微鏡で直接観察して糸球体や尿細管、血管などの状態を調べる検査です。診断の確定や今後腎臓病がどのように進行していくかの予測において役立つため、治療方針をたてる上で大変重要な検査です。

腎超音波検査(エコー)

お腹や背中にゼリーのようなものを塗って小さな箱状のプローベを当てる全く痛みのない検査です。腎臓の大きさ(腎機能が悪くなると萎縮して小さくなります)や異常(癌や嚢胞や結石など)がわかります。

CT検査

トンネルのような大きな機械に入る検査です。超音波検査よりも正確に腎臓の大きさや異常がわかります。点滴をしながら造影する方法もあります。CT検査とおなじようなMRI検査(核磁気共鳴)もあります。それぞれ特徴があり、先生の判断で画像検査(超音波・CT・MRI)が選ばれます。大学病院ではいくつかの画像検査を併用することもあります。

透析患者さんの検査

腹膜透析(PD)血液透析(HD)も、機能が低下した腎臓に代わって老廃物や水分の除去を行いますが、適正な量と質の透析が行われていないと、血中に老廃物がたまり、疲労感や脱力感、吐き気や睡眠障害などの症状が出現することがあります。そこで、透析患者さんが日常的に受ける検査では、体に異常が起こっていないかだけでなく、適切な透析療法や食事療法・薬物療法が行われているかをチェックします。

血液検査

血液検査では、ヘモグロビン・ヘマトクリット(貧血の指標)、尿素窒素・クレアチニンカリウム(透析の効率や食事内容の指標)、アルブミン(栄養状態の指標)、カルシウム・リン・PTH(骨が弱くならないように管理できているかの指標)などを測定します。これらの値をもとに透析療法や食事療法・薬物療法の内容を調整します。

カリウム(K)

カリウムはナトリウム(食塩)と同じように重要な電解質です。カリウムは細胞内に多く含まれ、血液は低濃度です。この細胞内外の濃度差で細胞機能(神経伝達、物質の運搬、電位の維持など)を行っています。腎臓が悪くなると腎臓からのカリウム排泄が悪くなり、血液のカリウムが増加します。そのため細胞内外のカリウム濃度差が変化し、細胞膜の機能が異常になり、不整脈や筋肉の異常が起こってきます。高カリウム血症は不整脈を起こし心停止になることもあります。ですから、カリウムの多い野菜や果物(バナナ)を透析患者さんは制限することがあるのです。

リン(P)と カルシウム(Ca)

リンとカルシウムは骨の成分として重要です。腎機能が悪くなると慢性腎臓病のミネラル・骨異常(CKD-MBD)が起こってきます。つまり、骨がもろく骨折などをしやすくなるのです。最近ではPをコントロールするFGF-23という物質も腎機能低下の初期から異常になっていることがわかってきました。腎機能が低下するとリンは蓄積して血液濃度が高くなります。それに対してカルシウムは低下することが認められています。

Kt/V

透析によって血液中から除去される尿素窒素の量などから計算された値です。透析が適正に効率よく行われているかを知るために測定します。

残存腎機能

透析患者さんでも、透析開始後しばらくの間はまだ腎臓の働きが残っており尿が生成されていることが多いです。腎機能が残っているほうが、老廃物が尿からも排泄されるため水分制限や食事制限が軽くてすみますし、元気で長生きできると言われています。従って残存腎機能を維持することが重要です。残存腎機能の指標の一つであるクレアチニン・クリアランスを求めるために、尿検査(24時間の蓄尿)と血液検査が行われることがあります。

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